【小説】星の花が降る頃に 後日談第三話
気づけばあたりは暗くなっていた。
夏実、一緒に帰ろう。そう言おうとした瞬間だった。
「あれ、戸部くん?」
戸部くんは慌てふためいている。
どうやら私達のことが気になって立ち寄ったようだ。
「でも仲直りできたのは俺のおかげだし…」
誰も咎めていないのに、言い訳がましい口調で戸部くんは言った。
それがなんだかおかしくて、夏実と私は顔を見合わせて笑った。
そしてしばらくした後、わざとらしく夏実は言った。
「あー、もう時間だから帰らなきゃ。ふたりともばいばい。」
そう言うと同時に、戸部くんと私にアイコンタクトをしてきた。
夏実はなにか、変な勘違いをしている気がする。
「…一緒に帰るか」
戸部くんは、りんごのように顔を赤くしている。
それにつられてか、私の心臓も波打ってしまう。
私は波打つ心臓を抑えるように、なんとか言葉を発した。
「戸部くん、ちょっとだけ公園に戻ろうよ」
このまま帰るのは惜しかった。
戸部くんはそっぽを向きながら、わかった。とだけ返してくれた。
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