【東方小説】雨宿りの番犬
買い出しの途中、春霖が降った。明日は博麗神社で宴会があるのでそれ用に買っておきたかった物があったのだ。雨に濡れ、紅美鈴は暇を持て余している。
早く晴れないかしら。と考えながらぼんやりと雨空を見上げている。
こんな天気は自分に特別悪い事があったわけでもなくても気分が自然と下がってしまう。
「.........」
ゲコッゲコッ
鳴き声の方に目を向けると隣にカエルがちまっと居た。
「咲夜さんはこういうのあまり好きでは無いけど自分は結構好きなんだよなぁ。」
そう呟きながらカエルの頭をツンツンした「可愛い...」
「呼んだ???」
「ふぇ!?」
声の方を振り返ると守谷神社の神、洩矢諏訪子が居た。余り自分はこんな大物の姿を直接見ることは無いせいか声が上擦ってしまった。でも何故彼女が私に話しかけてきたのだろう。そう考えるとふとそれが頭によぎった。
「カエルの神様だから?」
「ちがーう!確かにカエルは好きだけどカエルの神様じゃないよ〜」
洩矢諏訪子はそう言ってにししと笑った。彼女は笑顔の方が良いな〜とか思いながら、
「え?じゃあどうして話しかけて来たんですか?」と疑問を投げかけた。
「ちょっと暇でさ〜話し相手が欲しかったんだよね」と洩矢諏訪子は答えた。
神様だから人間と話すことは日常茶飯事なのだろう。いやそもそも自分は神という存在に関して余り詳しくないのだが。そう勝手に解釈して話を続けた。
「珍しいですね、神様ってそうそう姿を現さないと思ってました」
「まぁ普段は社で早苗や神奈子と一緒に居るけどね〜もちょっと、神社から出たくなることだってあるでしょ?」
と洩矢諏訪子は悪びれもせず答えた。そんな軽い感じで良いのだろうか。と思いつつもまぁ神様だし自由が効くのかなと考えた。
「それにしても雨が降ると参拝客が減るから暇なんだよね〜」
洩矢諏訪子がそう呟くと同時にカエルの鳴き声が聞こえた気がした。
守谷神社の神って余り良い印象がそこまで無かったが諏訪子の人柄(というか神柄)を見るとそれが少し払拭されたような気がした。
「てか今、ちょっと失礼なこと考えた?」
「いいえ全く」
「嘘嘘ジョーダンジョーダン」
正直図星すぎてびっくりした。余りこういうのって喧嘩売るとお嬢様でも手に負えないかもしれないから危なかった。
「ええ?じゃ〜正直は何考えてたのさ」
そう聞かれ、少し考えた。
そして口を開くと同時に洩矢諏訪子から変な音が漏れた。どうやら笑ったらしい。
「本当に変な神様ですね……」
呆れながらも考えを述べる。
「そういえば、神って意外と暇なんだな〜とか思ってたりしますね」
洩矢諏訪子はケラケラと笑った。嘘なんだけどな……と心の中で思いながらもその後会話が続いたのでまあ良かったかなと思う事にした。
諏訪子はケラケラ笑った後こう言った。
「私も紅魔館の門番がここまで暇だとは思わなかったけどね」
「一応これでも仕事ですよ」
そう言って笑い合った後もう既に晴れていた方夕暮れ空に虹が上がった。
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