【小説】東方幻想色 第Ⅸ章 紅美鈴の幻想色

21 2024/02/04 14:40

いつかのあの頃みたいに話すことはできないのだろうか?

これは…昔の美鈴の話。

【東方幻想色 第Ⅸ章 紅美鈴の幻想色】

私は昔、門番ではなくメイド長だった。

みんなを取り仕切っていた。まだお嬢様方も小さかったゆえに、今より大変だった。

そんなある日、お嬢様が誰かを連れてきた。

美鈴「誰です?お嬢様?」

レミリア「この子はね、さっき散歩に行ったら森の中で泣いていたのよ。それで…」

美鈴「なるほど、迷い子ですか?」

私が聞くと、お嬢様は首を振った。

レミリア「この子は新しいメイドよ。」

美鈴「え?!」

レミリア「というわけで、この子のお世話、よろしくね。」

美鈴「え、お嬢様?お嬢様ー!!!」

???「迷惑をかけて、ごめんなさい」

美鈴「そんなことないよ、泣かないで!!お名前は?」

???「………わかんない」

美鈴「うーん、あ!そうだ!今日は十六夜。なので十六夜という名字はいかが?」

十六夜「うん!素敵…」

美鈴「下の名前は…」

レミリア「咲夜。」

振り返ると、お嬢様がいた。

レミリア「咲夜って、紅魔館に相応しい名前じゃないかしら?」

美鈴「素敵ですね!!じゃあ、あなたは十六夜咲夜!紅魔館の若きメイドです!」

咲夜「……うぅ」

美鈴「咲夜?嫌でしたか?」

咲夜「こんなに人に優しくしてもらったの…初めてで…」

咲夜は話してくれた。

自分が能力者なこと、それによって嫌われてきたこと。

でも、私達は口を揃えていった。

「時を操れるなんて、かっこいいし、メイドにぴったり!!」

と。

咲夜はどんどん大きくなり、成長していった。

咲夜「美鈴さん、わたし、美鈴さんみたいなメイド長になりたい!」

そう言ってくれたとき、私が育ててきたのも、間違えじゃなかったことに気づけた。

ある日。

レミリア「これから紅魔館会議を始めるわ。」

美鈴「はい!」

レミリア「まず、咲夜」

咲夜「何でしょう?お嬢様?」

レミリア「私の従者、およびメイド長に昇格。」

咲夜「………!!夢が…叶った!ありがとうございます、お嬢様!」

咲夜の喜ぶ顔と、私が何百年と続けてきたメイド長降格とか、いろんなことが混じって、私の感情はごちゃごちゃだった。

レミリア「……鈴」

美鈴「………」

レミリア「美鈴!!」

美鈴「…あ、はい!」

レミリア「…お前は今日からフランの従者ということは変わらずに、門番になってもらう。」

美鈴「…はい、かしこまりました…お嬢様…」

しばらくは、自分の部屋に籠もった。

美鈴「……うぅ」

咲夜の夢が叶ったのは嬉しい。

でも自分の降格は、とても苦しく、辛い。

咲夜の夢が叶った事を素直に喜んであげられない自分も、嫌だった。

これからは、咲夜さん、美鈴の呼び方なのか…

???「似合ってる!!」

???「ありがとうございます、お嬢様!」

隣の部屋では、たぶん咲夜がメイド長の服を着ているのだろう。

その場に笑顔でいたかった。

私のチャイナドレスは、床に放り投げてある。

でも、お嬢様は言ってくれた。

レミリア「美鈴。あなたには門番はぴったりだと思うわ。その力を存分に発揮できるわ。」

美鈴「そう…です…よね?咲夜…さん…私達は…いつか前みたいに…話せますよね?」

私と咲夜の写真を見ながら、私は言った。

それからまた何年経っただろう。

咲夜さんが上、私が下という立場になったけど、私は変わらないものを見つけた。

それは…

【あの頃の紅魔館には戻れずとも、お嬢様と妹様と従者たちの色】

は変わらない。

またあの日のように話せる。

そうだと信じてる。

私はそんな夢を見ながら、今日も紅魔館の門番をやっている。

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タグ: 小説 東方幻想色 Ⅸ章紅美鈴

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アニメとゲーム2024/02/04 14:40:59 [通報] [非表示] フォローする
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リクエストの美鈴です!


前まで紅美鈴がメイド長とは思わなかった


>>2
なんとなくの想像ですがね


>>3
調べたら二次創作でもその設定はあるらしいよ!


>>4
そうなんだ!ありがとう!


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