【小説】雨の日の夕焼け

2 2024/10/22 23:40

「今日も雨かー…気分下がる…」

「しょうがないでしょー」

母が気怠げにそう答える。もう、お天道様もお母さんも今日が何の日か知らないの。それともわざと?

「今日は長峰くんを好きになって3年記念だよー?それなのにこんな雨だなんて、はぁ…」

「知らないわよ」

今日屋上で告白しようって思ってたのに。雨なんか大嫌い!「はぁ」ともう一度大きくため息をついた。

「ほら、そんな事言ってないで早くご飯食べちゃって。遅刻するわよ」

「分かってるよ!」

「行ってきまーす」と言いながらドアに手をかける。

長峰くんは私が高校入学すると同時に隣の家へ引っ越してきた。クラスの男子と違って大人びていて、とてもお顔が美しい!!私は顔を見た瞬間に一目惚れ。他のクラスの女子はこの魅力に気づいていないらしい。勿体ないけど、ライバルが増えてほしくは無いので好都合である。もちろん今では性格も全部ひっくるめて彼のことが大好きだ。

(これを直接言えればいいんだけど…)

頭を抱えていると後ろから

「あ、水野ー!」

と、私を呼ぶ声が聞こえた。大好きな声で。

振り返るとそこに居たのは、予想通りさっきまで私の頭を悩ませていた、長峰くんだった。

「おはよう」

「おはよー長峰くん」

とても可愛らしい笑顔で挨拶をしてくれた。そのお陰で私は吐血しそうになった。尊すぎて。

内心はこんな事を思っているが、外での私は至って普通。平常心を保っているから。

「今日雨ヤバいねー…靴下もうビショ濡れ」

「そりゃあ傘さしてなかったらびしょ濡れになるよ…」

「冗談はよしてよ~、ほら傘ならここに…ない!?」

「あはは…」

「何で!?ちゃんと朝持ってきたはずなのに!?ええええ…」

長峰くんに夢中になりすぎて、めっちゃ忘れてた!私の馬鹿!アホ!どうするのよもー!

私がしゃがんで鞄の中に折りたたみ傘がないか確認していると

「どう?ありそう?」

そう言いながら傘を私の方に傾けてくれている。こういうところ!さらっと出来るの紳士すぎ!

「無い、いつも学校に置いてるから」

「そっか、じゃあ俺の傘入る?」

「え?」

優しい笑顔で尋ねる長峰くん。正直今すぐにでも入りたいけど、すんなり入ったら「こいつ相合い傘目当てだったの?」とか思われそうだし。学校はここから800メートルほど先にある。逆を言えば800メートルしかないのだ。だったら傘無くてもいける!

「いや、大丈夫!あと800メートルぐらいだし、これ位余裕!」

「…相合い傘とか気にしてる?」

「え、あ」

続く。

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その他2024/10/22 23:40:39 [通報] [非表示] フォローする
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やっと投稿できたあああ…


>>2
ありがとうございます!


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