【小説】サラもる、ぐちゃ。
それはある雨の日の事だった。
「何これ...」
玄関を見に行くと、そこには見知らぬ段ボール箱があった。
こんなの頼んだ覚えはない。
なんなら、鍵も掛けおいたし玄関に運んでおいた記憶もない
住所を間違えた...?
いや、だとしても鍵がかかった玄関に置ける?
私が混乱していると、いつの間にか愛犬が傍に来ていて、その段ボール箱に向かって吠えていた。
ワン!ワン!
余りにけたたましく鳴くため、私は何が入っているんだとすっかり怖気づいていた。
ただ、それと同時に、箱の中身は何だろうという好奇心が沸いた。
結局好奇心に負けた私は、その段ボールを開封する。
段ボールの中には、皿が入っていた。
両手で持つことが出来るほどの大きな皿。
皿に描かれているひし形と丸が入り混じったような独特で不思議な紋章は、私のハートを瞬く間につかんだ。
それから、私はこの皿を愛用するようになった。
ただ、この皿は私が思っていた以上にこの世の理を逸脱していたものだった。
この皿の特異な点、それは...この皿の上に料理が勝手に出現すると言う物だった。
私が少し目を離した隙に、いつの間にか料理が出現しているのだ。
しかも、オムライス、シチュー、ムニエル、カルパッチョetc...とかなりバリエーションも豊富だった。
しかし、それ以外に特に不審な点は無く、なんなら料理する手間も食材費もかからないため、私はそれを重宝していた。
だが、この皿を使い始めた日を境に、私は日に日に忘れ物、無くし物が増えていくのだった...
朝、まだ覚醒しきっていない脳を引き摺りながらリビングへと向かうと、私の意識を完璧に覚醒させるような出来事が起きていた。
それは、テレビと木製の椅子が跡形も無く消えていたという事、
そして件の皿の上には、その皿から零れる程大量のシチューが提供されている事だった。
何故テレビと椅子が無くなっているのか、何故急に大量のシチューを提供したのか...
そうこう考えているうちに、私は嫌な想像をしてしまった。
ここ最近、無くし物が増えていた原因...それはこの皿が物を料理に変える事が出来るという特異な能力を持っているのではないかと、そういう想像だった。
すぐさま私はそんな事は無いと否定しようとしたが、そもそもいつの間にか料理が提供されているというにわかにはとても信じ難い現象が既に目の前で起きていたのだ。
そんな中、物を料理に変える事が出来るなんてありえない!なんて主張が出来る人がどこに居るだろうか。
ワン!ワン!ワン!
しかも、不気味な事に今日はやけに犬が吠えている。
不気味に思った私は、その日の夜、愛しの飼い犬を抱きかかえながら眠りについた。
朝、目が覚めると、昨日抱きかかえていたはずの温もりが消えている事に気が付いた。
大慌てでリビングに向かうと、そこには溢れんばかりの大きさのステーキがその皿の上に提供されていた。
それを見て、私は全てを察し、愛犬を失った悲しみと怒りに身を任せその皿をテーブルの上から落とし割ってしまった。
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!
「!?」
突如、耳をつんざくような甲高い悲鳴のような音が辺りを包んだ。
何事と思い、音がした方を向くと、その音の主は件の皿だった。
そして、その皿の割れ目から、まるで血の様な赤色の液体がドロドロと流れ出ていたのだった。
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めっちゃ良いけど
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」
これは半角カナじゃない方がいいと思う…….
雰囲気クラッシャーすぎる……
>>3
そもそも叫び声を文字起こしする事自体がシュールでこういう怖い雰囲気の小説には合わないからそこは失敗だったなと