また会えるなら、もう一度(月見小説)
僕は冴えない高校生、奏斗。天文学部に所属していて、特に月に興味があった。
ある日、スーパームーンの知らせを聞いて笠明山を昼から登って望遠鏡を覗きこんだ。
すると、なにやらウサギがライオンに追いかけられるような音が聞こえてきて、振り返っても何もいない。「おかしいな」と思い、夜に観察に山小屋から出ると、一段と大きく見える月がそこにあった。望遠鏡を覗きこむとやっぱりあの音が聞こえてくる。すると、望遠鏡の頭が傾き、スコープが真っ暗になった。角度を直そうとスコープから目を離したその時、人のような姿をしている、いや、どちらかというとウサギのような生き物が飛びかかってきた。驚いてよろけたとき、
「この姿だと話しにくいし、いっか」
「しゃしゃしゃ、しゃべったぁぁ!おばけぇぇ!」
「おばけとは失礼な!私はれっきとした月卯だ!」
「かつう?ていうかそのフォーム話しにくいんじゃなかったの?」
「あっ!」
三回転すると、僕と同じくらいの身長の女子に変わった。
「はじめまして。月から来た月見蒼空だよ。二日だけだけど、よろしくね」
「2日?」
「うん、スーパームーンの時しか帰れないんだ。明日が一番大きく見えるらしいからさ」
「ふぅん」
で、なんでこうなる
なぜ同い年の陽キャ月卯の女子が同じ部屋でくつろいでいるのか。
「あ、あのスコープを覗いた人しか私を見られないから、バレることはないよ」
便利ー
ーーー次の日ーーー
「はいはいはい!朝の準備!!」
「わかったよぉ」
しぶしぶ顔を洗い、何日ぶりかというほどの制服に袖を通す。
「いってらー」
この時、もっと話せてたらよかったのかもしれない。やはり悪い勘は当たる。
帰ったときにはもう、影ひとつなかった。
初めて失う悲しみを知った。だから、僕は月を研究して彼女を探すことにした。
やはり受験は厳しい。内申もボロボロな人が推薦などとれるはずもなかった。でも諦めず足掻いて、足掻いて、足掻き尽くした挙げ句、無事に志望校に合格できた。
これ程嬉しいことはない。僕は両親と抱き合い、嬉しさを分かち合った。
天文学部で研究することはやはり月。天文台を覗いてもあのときのようなワクワクはない。そこで、またあのスコープを探すことにした。部屋にもなく、学校にもない。どこだろうと思って3ヶ月以上たって10月6日。あの山にあのスコープがおいてあることに気付き、駆け寄ると懐かしい女の子がこっちを真っ直ぐ見つめて言った
「おかえり」
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