「朱藍の婚約者」第三話「婚約と同居はベツモノ」

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「朱藍の婚約者」第三話 婚約と同居はベツモノ

婚約が決まって一週間。一週間経っても今のところ朱音を襲う妖の気配は見られない。

平和なのはいいことだ。だが、この平穏さは不気味にすら感じる。なにかが起こる前兆と考えるのは考えすぎなのだろうか?そう思いながらも最強の男は普段通り過ごすことにした。

校門を出た青斗はいつものように一人暮らし中の自宅に帰宅している途中であった。一定の歩幅、一定のスピード。まるで競歩の選手のように歩いていた。そのときだった。

「二高様。」

後ろから、低く整った声。振り向く間もなく、黒塗りの車が横付けされた。

「...何だこれは。」

青斗は一歩引いた。あからさまに白金財団の車であり、中には朱色のツインテールが目印の婚約者でもあるあの朱音がいたからだ。車の中にいる朱音は車の外からでもわかるほど嫌悪と殺気を飛ばしまくっていた。車の横には自分を呼び止めたと思われる使用人らしき人が立っていた。

――嫌な予感しかしなかった。

「お迎えに上がりました。青斗様。」

「...聞いていないんだが。」

「言っていなかったので。」

使用人はそう言うと、問答無用で青斗を車の中に入れた。

車内はあまりにも静かすぎた。

朱音は腕を組み、相変わらず青斗を睨み続け、殺気を飛ばし続けている。

青斗はそれに気づいてはいるが、窓の外を見たまま、一言も発しない。

数十分後。

車は、千葉県都市部付近にある――

明らかに”普通”じゃない一軒家の前に止まった。

二階建て。広い庭。塀に囲まれて、門からして高級感が桁違い。

「...何ここ。」

朱音が呟く。

「こちらの家がこれから二人に住んでいただくお住まいです。」

サラッと使用人は言った。

「...は?」

二人は一瞬固まったが、すぐさま朱音が反論した。

「いやいやいやいや。意味分かんないんですけど。」

使用人は一礼する。

「本日より、お二人にはこちらで同棲していただきます。」

空気が凍った。

「...はぁ!?」

朱音が声を荒げる。

「ふざけないで!!誰がこんな..こんな無愛想なやつと同棲しなきゃなんないのよ!!」

「無愛想とは失礼だな。だが、婚約と同居はベツモノだろ。」

青斗も思わずボソッと呟いた。

使用人の一人が朱音のそばに近づく。

――そして、青斗に聞こえないように朱音に耳打ちした。

「お父様からのご命令でして...。」

朱音の顔色が、さっと変わった。

「...っ。」

朱音は唇を噛んだ。さっきまでの勢いは消え失せている。

「...はい、分かりました。」

歯切れの悪い返事だった。

今度は別の使用人が青斗の側に近寄る。

同じように耳打ちした。

「妖使い協会会長様からは、そのほうが彼の仇討ちにも近づくだろうと...。」

青斗の表情が一気に険しくなる。仇討ちのことは家族にしか言っていないはずなのに。

「...なんでそれを...!!」

言いかけて、言葉を飲み込む。

顔を背け、小さく息を吐いた。

「...了解した。」

その声もどこか固い。

二人は目も合わせず、家の中に入った。

室内は広すぎなほどだった。

「...まずは風呂だ。先入るぞ。」

先に口を開いたのは青斗だった。

「...好きにすれば。」

朱音は相変わらずそっけない。

「...そうか。」

青斗はシャワーだけ浴びると、着替えて、居間のソファでくつろいでいた。

2時間後、青斗は違和感を覚えていた。それは、あまりにも朱音の風呂が長過ぎることだ。彼女だって、立派な女性ではある。だが、2時間もずっと風呂に入るものだろうか。

――もしかしたら、妖に殺されかけているのかもしれない。青斗はガバっと立ち上がるとできる限り急いで、風呂場に向かった。

「大丈夫か!!はちおう――」

風呂場について眼の前にいたのは、脱衣所で服を着たまましゃがんで不貞腐れている朱音がいた。

「...何してるんだ。」

朱音は青斗の存在に気づくと一瞬、嬉しそうなのか悲しそうなのかはたまた悔しいのか分からない表情になったが、すぐに不機嫌そうな顔に戻った。

「...何よ。二高。私の家の所有物なのに、操作の仕方がわからないことを馬鹿にでもしに来たの?」

「いや、操作の仕方が分からないのは知らないが、お前が2時間も風呂から帰って来ないから、妖に襲撃されそうになっているのかと思っただけだ。」

「...ふーん。何よそれ。そんなにあたしに死んでほしくないわけ?...あんた、まさかあたしのこと好きなの...?」

「んなわけないだろう。これは妖――」

言いかけて、青斗は言葉を飲み込んだ。

朱音は護衛の妖務を知らないはず、もし知ってしまったら妖務失敗として強制的にこの妖務を終わらせられかねない。そうすれば復讐への道のりがフリダシからになってしまうかもしれない。それだけはなんとしても避けたかった。

「――とりあえず、お湯の出し方は教えてやる。見て覚えろ。」

青斗は話題を変えた。

「なんで上から目線なのよ。」

朱音は教えられるのが少し気に食わないのだろう。言い返してきたが、無視してお湯の出し方を教えた。

…その後も、朱音のポンコツ生活力が見事なまでに発揮された。

洗濯をすると洗剤を入れすぎて洗濯機は壊れかけ、料理を任せたら毒素が生まれた。

その度に青斗は教えたり指摘したりするが、プライドに傷がつくのだろう、朱音の方も言い返してきてばっかだった。

夜10時、朱音はソファの上で不貞腐れていた。

「...勘違いだから。」

朱音はぼそっと呟いた。

「何だ?」

「だから!!勘違いだからってば!!全部!!本当はちゃんとできるもん!!」

朱音は叫んだ。その目には少しだけ涙が溜まっていた。

「あたしだって!!やろうと思えば出来るもん!!そして、こんなやつと一緒に住むだなんて嫌だ!!」

「こんなやつとは失礼だな...。」

「いい!?二高!!もうお互い関わらないで!!あんた最初に言ってたでしょ!!――」

第3話「婚約と同居はベツモノ」:終

次回予告。お互いかかわらないと決めた翌日。二高・八王寺邸にある人物が来て...!?次回第四話「楽観的主義者だから」お楽しみに!!

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その他2026/02/05 07:49:58 [通報] [非表示] フォローする
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絵が色塗り途中なのは気にしないでください!!

*プラスワンでもっと知ろう!!:朱音は生活力皆無ですが、それ以外は普通にできるらしいです。

次話はこちらから→「朱藍の婚約者」第四話「楽観的主義者だから」https://tohyotalk.com/question/815774

前話はこちらから→「朱藍の婚約者」第二話「飄々と」https://tohyotalk.com/question/814833


2: 2コメさん 2026/03/05 08:40:03通報 非表示

その想像力はほんとに16歳ですか?


はい!!16歳の現役高校生です!!


4: 2コメさん 2026/03/05 09:02:17通報 非表示

良ければスペックを教えてください


スペックってなんでしょうか?ちょっとよく分かんなくて...。良ければ教えてください!!


6: 2コメさん 2026/03/05 10:28:48通報 非表示

すみません身長や体重などの身体的な能力のことです!!


えっと、自分のですか?それともこの物語のキャラクターでしょうか?


8: 2コメさん 2026/03/05 11:36:40通報 非表示

どっちもお願いします!!


どっちもですね。了解です!!

僕は身バレしたくないので僕自身のスペックは身長と体重だけ公開します。

身長は171cm、体重は62kgの平均男子高生です!!

物語のキャラクター。

二高 青斗(にこう せいと)

身長:176cm 体重:64kg 年齢:17歳

好きなもの:甘いもの

嫌いなもの:うるさい場所

背景:幼少期に母をぬらりひょんに○された経験があり、そこから妖使いになることを決意した。日本最強の妖使い。

技:〈純混其の一〉→妖気を体の一部に纏って攻撃する技。

  ???

  ???

八王寺 朱音(はちおうじ あかね)

身長:164cm 体重:??kg 年齢:17歳

好きなもの:辛いもの、小動物

嫌いなもの:無愛想な人、命令口調の人

背景:昔からいろんな世界の人から狙われる経験あり。白金財団の令嬢。

技:なし

レイズス・コマンダル

身長:175cm 体重:??kg 年齢:17歳

好きなもの:猫

嫌いなもの:特になし

背景:幼少期の頃、コマンダル家に生まれるも半妖という事で妖界から追放されていた。だが、人間界で青斗に出会って親友になる。

技:幽体化→幽霊と体の構造を同じにすることで一定時間物理技が効かなくなる技。

と既存のキャラクターでのスペックはこんな感じです!!


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