残滓。【1】
「ソーダとサイダーの違いってなんだと思う?」
グラスの氷がひとつ、カラリと音を立てる。
「私はね……ふふ、やっぱり秘密」
伏し目がちな彼女の下瞼に、睫毛が影を落とした。
鼓動を押し込めるように飲み干したコーラは、味も炭酸も薄くなっていた。
*
りんご飴に口付ける様にして舐める君に惹きつけられる。
「んー……美味しい。甘い」
言葉は少なく拙いけれど、君の表情がどんなにか美味しいのかを物語っていた。
雑踏と祭囃子が、ほんの一瞬遠ざかる感覚。
気がつけば、僕は君の手を取っていた。
「えっ…あ、何……?」
珍しくも目を見開いた君に、漸く自分が何をしたのかに気づく。
「あっ、いや、何でもない。ごめん」
パッと離した左手に、2秒だけ、温もりが残った。
シャク、と軽い咀嚼音が左側で響く。りんご飴に反射した提灯の灯りが君の唇に触れた。ヒビが入ってパリパリと壊れて食べられていく様に、何故か愉悦を感じる。
「ねぇ、見過ぎ。恥ずかしい」
夏に浮かされた熱とはまた違う赤が君の頬に乗った。
君の唇に触れられる提灯の蜃気楼に
____嫉妬した。
そんなことを言ったら君は怒るだろうか。
ーーーーー
かけるくんのね?リクエストに応えてあげてね?
1話完結をシリーズにしてやりましたヨォ!褒めろ!!((
いいね5で次出すね(
いいねを贈ろう
いいね
17
コメントしよう!
トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する