【小説】生きたくないから死ぬって話 #4(最終話)
神凪琴葉は病室から出て行った。誰もいなくなった病室はシーンとしている。
ㅤ
ㅤㅤ俺はよろけながらベッドから起き上がって窓の方へ近寄った。もうすっかり日が暮れている。
ㅤ
余命わずか一ヶ月。残りの時間をどう過ごせばいいんだ。やり残したことは...
ㅤ
もし復讐が出来るのであれば俺はクラスの奴らを殺したい。役立たずの先生も、俺を見捨てた親も。みんな死んじゃえ。
ㅤ
親も親だよ、自分の子供が入院しているっていうのに呑気に旅行?普通、ありえねーだろ。
ㅤ
俺は窓に頭をぶつける。顔を上げると窓ガラスに映る俺の目からは涙が溢れてた。
ㅤ
俺、何泣いてんだろ。全然悲しくなんてないのに。
ㅤ
ㅤ
ガチャ
ㅤㅤ
ㅤ
「ちょっと西園寺くん何で立ってるの、寝てなきゃダメじゃん!」
ㅤ
ㅤㅤ
ドアを開けたのは神凪琴葉だった。こいつ、声でけぇんだよ。
ㅤ
「他の患者もいるんだから病院では静かにしてくれい?」
ㅤ
それくらいのことがどうして分からないんだろうこいつは。やっぱり馬鹿はこいつだよ。
ㅤ
「ごめんね...」
ㅤ
神凪琴葉はそう言って俯いた。
ㅤ
ㅤ
「それより、帰ったんじゃなかったの」
ㅤ
「何言ってんの帰るわけないじゃん。そうだ、西園寺くんにオレンジジュース買って来たんだよ」
ㅤ
ほら、と言って満面の笑みで神凪琴葉は袋の中からオレンジジュースを見せた。
ㅤ
ㅤㅤㅤ
「ありが...」
ㅤ
「ごめんね」
ㅤ
神凪琴葉は俺の言葉を遮った。
ㅤㅤ
「西園寺くん、ごめんね。死んでればいいとか言って本当にごめん」
ㅤ
そう言って神凪琴葉は号泣した。
ㅤ
「別に」
ㅤ
ㅤ謝られても困るし、それしか返す言葉が見つからなかった。今まで謝られた事なんか、ほとんど無かった。
ㅤ
「西園寺くん聞いて聞いて!先生が明日様子見に来るって言ってたよ」
ㅤ
そっか。俺は頷いた。
ㅤ
「私はこのまま病院にいるつもり。親や先生に何と言われようと此処にいる、一人にしたら西園寺くんすぐ危ない事するし心配だからね」
ㅤ
上から目線な奴。保護者より保護者かよ。でも、俺はなんとなく自分の生きる理由が分かった気がした。
ㅤ
「俺...生きたい。残り1ヶ月間」
ㅤ
神凪琴葉は目を見開いた。
ㅤ
「西園寺くん...今生きたいって言った!」
ㅤ
声がはずんだ。
ㅤ
単純な奴。
ㅤ
でも、おせっかいでうっとうしい女の子のことを、
ㅤ
俺は、ひょっとしたら、
ㅤ
ありえねーって話でも、
ㅤ
万が一の奇跡みたいに、
ㅤ
ほんのちょっと、
ㅤ
好きになっているのかもしれない。
>>20
ありがと!(งᐛ )ง普段からいろんな小説を読んでいるとどうしたら読者が続きを読みたくなるかとかどうしたら引き込まれるかとか分かってくると思う!そのためにタイトルとか話の切り方とか工夫するようにしてるよ〜