【小説】第3話 決心
俺は呆然と立ち尽くしていた。涙も出なかった。
家に帰ると知らない男の靴があり、嫌な予感がした。
予想はドンピシャだ。若い男とアヤメは叫び声をあげた。
風呂から上がった二人を正座させ、話を聞いた。しかし、二人の心はどす黒く染まっていた。
「何よ、もうわかったでしょ。別れてちょうだい。」
「は…?反省はしていないのか?」
「不倫されるアンタが悪いんじゃない!」
俺は呆れて言葉が出なかった。すると、男が言った。
「と言うことなので、アヤメと別れてください。あ、子供は連れて行きますよ。俺、子供は好きなので。」
俺は叫び声をあげた。娘を連れてく?何を言っているんだこいつは!
「娘はお前らには渡さない!ふざけるな!」
怒鳴っていると、寝ていた娘、ナズナがトコトコ歩いてきた。
ナズナは知らない男と俺を見てさっと血の気が引いた。
「まあ、まだ起きてたの」
ナズナの方に向かったので、何をするのかと思ったら、腹部を蹴ったんだ。
俺はアヤメを押さえつけた。ナズナはギャンギャン泣いていた。
よく見ると、体には複数の痣があった。俺はアヤメを殴りながら泣いた。
不倫相手の男が俺に向かって飛び蹴りを決め、娘は恐怖のあまり駆け出した。
「っち、逃げやがったあのガキ。」
不倫相手の男がそう言った。妻、いや元妻は悔しそうな顔をしながら、
「慰謝料は払わないわよ」
と言った。俺は走ってナズナを追いかけた。警察署、警察署にナズナはいた。
「ママが知らない男の人と一緒にいて、パパが気付いて怒って蹴られてパパが泣いてる」
と泣きながら訴えていた。その後は、弁護士を通して話をつけた。
ナズナは俺が連れて行った。慰謝料もぶん取るつもりだ。
これで終わりかと思ったが、まだ事件があった。