小説「狼と戌 光と影編」一話
人とは、少し違っても、必ず同じような人生を歩む。教育を受け、成人し、仕事に就く。一般的な人々はそうだろう。
しかし、国会のニュースを見ているとつくづく思ってしまう。大人は、ごまかしている。
殆どの大人は上司などに叱られたときにその時はやり過ごす。そして、その後影で上司の悪口を言う。
言わないとしても、心のなかで思う。このように、心のモヤモヤは増えていく。
だからといって、自分がごまかしていないと言える自信はない。そもそも人間自体がそう。
それでも大人はごまかすなという。ごまかしがないと、誰だって生きてはいけない。
自分の心は、ずっと子供のままで、高校生になった。中学受験で失敗して、その後高校受験で頑張って、自分にとって満足できる学校に入れた。
そんなつらい経験をしていても、子供だった。小学校から中学校まで、目立とうとしなかった自分。そして、友達も少なかった自分。
そんな情けない時間を過ごしたことで、まだ、人との関わり方がわかっていないのかもしれない。
高校の入学式の次の日、自分はいつもより早く家を出た。春だというのに、かなり早めに太陽が出ていて眩しかった。
高校に早く走った。自分が本気で行きたかった学校に、早く行きたかった。
商店街の店はほぼ閉まっていた。人通りも少なく、走るのには好都合だった。
電車のプラットホームには、スーツを着た大人たちが立っており、はぁとため息を付いていた。
電車から降りて何度も乗り換えて、ようやくついたのが、籔床(やぶとこ)高等学校だった。
まだ門は閉まっている時刻のはずだった。だが、開いている。
興味本位で中に入った。周りを見渡したりしても、何もなかった。はぁ、と先程の大人たちと同じようなため息を出した。
門から出ると、そこには籔床高校の制服を着た、身長が同じくらいの少女が立っていた。
初めて記事を投稿します。雲と申します。
私は普段小説を書いています。あくまでも趣味ですが、小説家になれたらいいなぁなんて思いながら投票トークをはじめました。
基本的には連載小説を投稿したり、小説の書き方講座もやってみようと思います。基本的に投稿するのは一週間に一度程度です。
今回の小説は「狼と戌」の「光と影編」の一話です。おそらく1つのトピックスでは収まりきらないと思うので、「〇〇編の何話」と区切ろうと思います。
かなり長くなるかもしれませんが、ぜひとも最後まで読んでいただけたら光栄です。