恋愛小説「狼と戌 光と影編」二話
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自分が小学生だった頃。席替えで一時期、ある意味素晴らしい席になったことがある。これは、確か最期の席替え。
席では、やはり冬以外では窓際が一番人気。3月になると、先生は、「これで最後の席替えです」といって席替えの紙を黒板に貼った。
そこは、とてつもなく絶妙な席だった。いいとも言えない。
ギリギリ、太陽の光が届かないところだった。窓際から2列目の一番後ろの席。
窓際の一列目は、授業にも積極的に、学級会では自ら司会を望むほどの奴らが集まっていた。
窓から3列目は、反対側の窓から光が当たる。左の窓から2列目の一番うしろは、唯一照らされていないかなりレアな場所だった。
まさにとても素晴らしい席だったと思う。自分だけ照らされておらず、他の奴は授業にしっかり参加している。
文字通りの陰キャと陽キャは本当にあった。
ただもう一人だけ、俺と同じ状況の奴もいた。外間翠(ほかまみどり)という女の子だった。彼女はお互いにとって、ただ一人だけの友人だった。
そして、その子の顔だけははっきりと覚えている。
外間は言っていた。「友達がいなくてもいいから。恋人さえいればいいから。」
自分が、友達がいなくていいのかと聞いたときのことだった。しかも、卒業式の後の下校中。それは、勝手に自分に対する告白だと心のなかで感じた。
そんな中、自分は今別の女の子の前に立っている。初めての経験だったような気がする。
彼女はすぐにそっぽを向き、どこかへ走ってしまった。もしかしたら、この門を事前に開けておいたのかもしれない。
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