【小説】マイ・リトルレナ第3話②
「死にたいの?」
新たな人生への第一歩を踏み出そうというその時、レナは話しかけてきた。
「誰?」
不快。また私の邪魔をする。縛る。もう飽きた。
「私が死んでもあなたのせいじゃないから。じゃあね。」
冷たくあしらってこの場を去ろうと試みる。
突然腕を後ろへ引っ張られる。かくんと膝が折れてその場へ倒れ込む。
「ったいな・・・。なにすんの!?」
意味が分からない。
「痛い?」
レナはクスクスと笑っている。なにがおもしろいの?
無性に腹が立ってきた。
「怒ってる?」
何がしたいのこの女・・・
「それは生きている証拠。痛みを感じることも、怒ることも、全部生きてないとできないんだよ?」
ごもっともだ。だが・・・
「それが何!?さっきから人の邪魔して何が楽しいの!?何がしたいのよ!?」
「君と友達になりたい。」
間髪入れず返ってきた言葉は、想像もしていなかった。
「は?」
ますます意味が分からない。
本当になんなの?
「君、親は?」
「・・・いない。」
「ふーん」
「・・おどろかないの?」
「え、うん。・・何?驚いてほしいの?ワービックリー」
レナが振り付きで棒読みの演技をする。
「ふはっ」
しばらく笑っていなかったせいか、ツボが浅くなってしまった。
レナを見ると、驚いているのか、目を少し見開いていた。
「あー。ダメだ。やっぱり怒るのに慣れてないや。疲れた。」
そう言ってその場に寝転び、目をつむる。
数秒ほどつむり、ゆっくりと目を開ける。
空を見渡し、勢い良く体を起こす。
レナがビックリした顔でこちらを見ている。
「いいよ。友達。なろっ!」
レナが3秒ほど考え、手をさしのべる。
「よろしく。」
「こちらこそ。」
さしのべられた手をぎゅっと握ると、レナが腕を引っ張ってきた。
「うぉっ」
レナがぎゅうっと私を抱き締める。
柔軟剤の花の香りに血の臭いがした。
いや、これは自分のか。と思い、レナを抱き締め返す。
「泣いてるの?」
「え・・・」
レナに言われて気づく。
両親を殺したとき出なかった涙が溢れる。
「遅いよ・・・もう、」