【小説】マイ・リトルレナ第3話②

2 2023/01/14 17:39

「死にたいの?」

新たな人生への第一歩を踏み出そうというその時、レナは話しかけてきた。

「誰?」

不快。また私の邪魔をする。縛る。もう飽きた。

「私が死んでもあなたのせいじゃないから。じゃあね。」

冷たくあしらってこの場を去ろうと試みる。

突然腕を後ろへ引っ張られる。かくんと膝が折れてその場へ倒れ込む。

「ったいな・・・。なにすんの!?」

意味が分からない。

「痛い?」

レナはクスクスと笑っている。なにがおもしろいの?

無性に腹が立ってきた。

「怒ってる?」

何がしたいのこの女・・・

「それは生きている証拠。痛みを感じることも、怒ることも、全部生きてないとできないんだよ?」

ごもっともだ。だが・・・

「それが何!?さっきから人の邪魔して何が楽しいの!?何がしたいのよ!?」

「君と友達になりたい。」

間髪入れず返ってきた言葉は、想像もしていなかった。

「は?」

ますます意味が分からない。

本当になんなの?

「君、親は?」

「・・・いない。」

「ふーん」

「・・おどろかないの?」

「え、うん。・・何?驚いてほしいの?ワービックリー」

レナが振り付きで棒読みの演技をする。

「ふはっ」

しばらく笑っていなかったせいか、ツボが浅くなってしまった。

レナを見ると、驚いているのか、目を少し見開いていた。

「あー。ダメだ。やっぱり怒るのに慣れてないや。疲れた。」

そう言ってその場に寝転び、目をつむる。

数秒ほどつむり、ゆっくりと目を開ける。

空を見渡し、勢い良く体を起こす。

レナがビックリした顔でこちらを見ている。

「いいよ。友達。なろっ!」

レナが3秒ほど考え、手をさしのべる。

「よろしく。」

「こちらこそ。」

さしのべられた手をぎゅっと握ると、レナが腕を引っ張ってきた。

「うぉっ」

レナがぎゅうっと私を抱き締める。

柔軟剤の花の香りに血の臭いがした。

いや、これは自分のか。と思い、レナを抱き締め返す。

「泣いてるの?」

「え・・・」

レナに言われて気づく。

両親を殺したとき出なかった涙が溢れる。

「遅いよ・・・もう、」

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タグ: 小説 マイ リトルレナ

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その他2023/01/14 17:39:57 [通報] [非表示] フォローする
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