アニメのラスボスを拾いました!? 第一章③
前回の続き。
アニメの中から逆トリップしてきちゃったラスボスと一般人が恋するお話。
わーにん!!
• ど素人が書いてます。設定ガバガバ、細かいことは気にしない!
• 女性向け、恋愛もの、長編、まあまあファンタジー
• 無理だと思ったらプラウザバック。地雷に配慮してません
• 残酷な描写、R15くらいの描写がこれから出てくるかもしれない
• なんでも許せる人向け
アニメのラスボスを拾いました!? 第一章③
____夢を、見ていた
声が聞こえる。舌ったらずな幼い声が誰かの名前を呼んでいる。
終わりの見えない暗闇の中、それが唯一の光だというように明るい声色だった。
__ゆーと、ゆーと!
ゆうと?誰の名前だ。やっと聞こえた言葉の意味に疑問に思うが、声は止むことがない。
__ゆうと。ゆうと。
今度は少年の声。どこか聞き覚えのある優しい声。あぁもう、うるさいなぁ。
____ねぇ答えてよ、優斗。
肩を叩かれたような気がした。誰に話しかけているんだ?私か?違う。私の名前は優斗じゃない。
__おい、神木。
また知らない名前だ。私の名前は米山で、神木じゃない。
____へぇ。まだ否定するんだ。
ザザザ…とノイズがよぎり、場面が変わった。今度は何もかもを塗りつぶしてしまったような真っ白な世界。真っ暗闇よりはまだマシだと安堵したのも束の間、ふと気配がして足元を見る。
「っ!」
視界に入った光景に思わず声が出そうになった。地面からは無数の腕がこちらを捕まえようとするように伸びている。あらぬ方向に曲った腕、血色の悪い死人のような白い腕、指が数本ない手、そして真っ赤に染まった腕。あまりの凄惨な光景に逃げようとするもなぜか体が動かない。冷や汗だって出ているのに、目さえ離すことができない。徐々に増えていく手を見ていることしかできなかった。
いつまでそうしていただろうか。ウヨウヨと動いていた手の動きがぴたりと止まる。そして、それぞれの掌から気味の悪い「口」が現れる。くぱり、と一斉に開いた口はこう言った。
__神木優斗はお前だ。
その言葉に目を開く。違う、違うんだ。私は米山架で______
__違う!お前の名前は神木優斗だ!
__米山架は偽物だ!
__偽物は消えろ!お前は神木優斗だ!
違う。
__何が違う。何も違わないだろう!!
数本の腕が脚に絡み付く。いくら否定してもその声は一層強まるばかりだ。
違う違う違う!!俺は優斗なんかじゃない!それは、その名前は、
「もうその名前は捨てたんだよ!神木優斗は俺が、米山架が殺したんだ!!」
一瞬の沈黙。
俺の荒い息遣いだけがやけに鮮明に聞こえた。やめてくれ。思い出したくないんだ。頼むから____
無数の「口」はそんな俺を嘲笑うかのように言った
「神木優斗は親友を殺した」
___‘‘例えお前が名前を変えても、その罪が消えることはない’’
暗転
◆◆◆
ピピピピッ ピピピピッ
目覚まし時計の音とともに目が覚める。時間は朝6時。外はまだ薄暗い。そのせいもあってか、再び瞼が落ちそうになってうつらうつらとし始める。昨日は夜遅くまでバイトしていたということを言い訳にして二度寝しよう。そう思って寝返りを打つと、家の中に人影が見えた___え、人!?
「ど、泥棒!」
「えっ」
「悪霊退散っ」
「それはちょっと違うかな!?」
「警察呼びますよ!?」
「え゛っ」
咄嗟に飛び起き、ベットに置いてあったぬいぐるみを人影にぱふぱふ投げつける。
「あ!?いやちょっ、待ってくれ」
「待ちませんっ!この泥棒ー!」
静止の言葉も聞かず、手頃なぬいぐるみがなくなると私は毛布やら枕やら手当たり次第に投げていった___
ということがあり、朝、完成したのは米山さんが、あのラスボスの米山架が数々のぬいぐるみと枕に埋もれている図であった。ぬいぐるみまみれの推しの姿。可愛くないわけがない。
「…ん゛ん゛っ可愛い…」
「男にそれは失礼じゃないかい?」
「いやだって可愛いんですもん。なんというか、似合いますね…!」
「ん?私は喧嘩を売られているのかな?買うよ?」
「まさか!」
米山さんのギフテッド級のフィジカルじゃ、私なんか指一本で倒せますよ、と心の中で付け足しておく。でもやっぱり可愛いものは可愛かった。彼は不満みたいだったけど。こんな光景を拝めるのも今だけだから、と心のシャッターを連写しておいた。
米山さんと軽口を叩いているとすっかり目が覚めてしまったので、二度寝はやめて支度を始めることにした。カーテンを開けると薄暗かった外はすっかり明るくなっており、朝日が窓から差し込んでくる。洗面所に向かえば鏡がきらきらと反射しており、一日が始まったことの実感が湧く。あー今日も学校かあ、勉強嫌だなー、と思いながらふと目をやったカレンダーを見て気付く。
待って。今日土曜日だった。
「ヨッッシャアァ!!!!!!!」
「え何事!?」
叫んだら米山さんが駆けつけてきてくれた。優しい…!じゃなくって、恥ずかしい。顔真っ赤になってそう。あまりの恥ずかしさに居た堪れなくなり、適当に話を逸らす。
「いや?なんでも。それより、ご飯にしましょう!朝ご飯は和食派ですか?洋食派ですか?」
「?まあいいか。んーそうだな、基本朝ご飯は洋食だけど、今あるものでいいよ」
「はーい!じゃあ作るんで待っててくださいね」
「いやいや、流石に悪いから手伝うよ」
「っ!ありがとうございます〜!(推しの料理姿が見れる!!)」
ジューっと目玉焼きを焼く音がする。続いて、トントンとリズミカルに野菜を切る音。ふわり、といい匂いが鼻腔をくすぐった。
「わー!美味しそう!」
出来上がったのはサンドイッチ。丁度いい具合に焼き上がったパンに、半熟の目玉焼き、新鮮なレタスときゅうり、その上からマヨネーズ。さらに推しのお手製。至極の一品だ。
「ふふ、喜んでもらえて良かったよ」
コップにお茶を注ぎ、米山さんにはコーヒを淹れ、それを盆に乗せて運ぶ。サンドイッチがのった皿は米山さんが運んでくれた。人と朝ごはんを食べるなんていつぶりだろうか。そんなことを考えながらいただきます、と手を合わせた。
「あ、そういえば今日何か夢を見たような気がするんですよね」
かぷり、と一口食べれば口いっぱいに広がるサンドイッチの味。噛めば噛むほどパンの甘みが感じられる。どんな夢か覚えてないんですけどねえ、と続けると米山さんの目が軽く開かれた。
「奇遇だね。実は私もなんだ」
「へえー、そんなこともあるんですね」
どんな夢見たか、米山さんは覚えてます?と問えば、一瞬米山さんの咀嚼する動きが止まった__ように見えた。が、すぐに再開される。
「生憎私も覚えてなくてね。でも、」
_____決していい夢ではなかったよ
そう言った米山さんの表情は、長い髪に隠れてよく見えなかった。
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今回はここまでです!意味がわからない部分が結構あると思いますが後々判明していく予定です…!
読んで頂きありがとうございました!
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