生花【前編】

恋をした。一目惚れだった。

自身の理想と違ってもきっと、ずっと愛せるだろう。

愛を抱いた。不確定だった。

自身の理想と違えばきっと、ずっと恋は抱けないだろう。

『ドライフラワーが好きだった。枯れることも無く、成長することもないそんなドライフラワーが好きだった。』

ずっと笑えなかった。笑ってしまった。

運命的に思ってしまって、気を抜いてしまった。

これはそんな感情じゃない。

ずっと笑っていた。笑えなくなった。

運命だと分かって、慎重になってしまった。

これはそんな感情じゃない。

僕は離れたかった。離れたくなかった。

自身の心情に気付き、目を閉じる。

僕は歩み寄る。

私は近付きたかった。近付きたくなかった。

自身の恋情に気付き、目を開ける。

私は歩み寄る。

『正反対だからこそ、愛が生まれる。同じだからこそ、恋が芽生える。』

自身の愛を否定し、恋を追いかける。

自身の恋を否定し、愛を追いかける。