紅剣の探索者第12話

6 2026/03/12 20:46

「誰だお前は?」

ソラは男に尋ねた。

「ダキア軍大尉待遇のゴドンさ」

その瞬間ソラは、勢いよく殴られた。

そして吹き飛ばされる。

ゴドンは吹き飛ばされているソラにすぐに接近し、次の拳を繰り出した。

ソラは両腕で攻撃を防ぐ。

だが拳の威力はソラの両腕深くにまで及んだ。

そして壁に勢いよく当たる。ゴドンが接近し、ソラの両腕に連打を与える。

彼はソラの胸ぐらを掴み、そしてソラを勢いよく投げ飛ばした。

ソラの背中が地面に当たり、それでも転がり続ける。

ソラは体勢を立て直し、身構える。

腕が、ひどく傷んだ。

(なんだ、これは…?)

ソラは自身の腕を見やった。

(ただの殴打なはずだ。なのに、腕の骨が直接打撃に晒されたような痛み)

そう思考を巡らせている間、一瞬でゴドンがソラの正面に立った。

「は?」

ソラは立ち尽くした。ゴドンの右拳がソラの顔面に向かっていく。

「なんなんだよ!?」

怒鳴りつつ、ソラは左手でゴドンの右拳をつかみ、右手でゴドンを殴ろうとする。

(左手に、違和感…?)

拳を掴んでいる左手の力が、押し戻されている。ソラは右手の動きを止めた。

「この…」

ソラは左手に力を入れるが、左手は虚しく開いた。

そしてゴドンの右手がソラの左手を掴んだ。

(左手が、折られる!)

絶望的な力量差に加え、不可解な戦いの物理現象。迫りくる痛みと敗北の苦渋に対し、ソラの立場はほとんど無力であった。

そんな状況下で、がら空きだったソラの右手が動いた。

ソラの右手が再びゴドンの顔面に向かう。

(左手を捨ててでも俺に一矢報いようとする、相打ち覚悟の一撃。大丈夫だ。捉えられる位置だ)

ゴドンの頭はそう弾いた。

右手に圧力を加えつつ、自身の左手でソラの右腕を掴まえればよい話だ。

そして、視界が天井に向いた。

「…!?」

ゴドンの顎に衝撃が走った。

(蹴られた…だと?)

ソラは手を使わず、右足でゴドンのあごに攻撃を命中させたのである。

予想外の攻撃で、ゴドンは動けなくなった。

ソラはすかさず右手でゴドンの顔面を殴った。

「今までの、お返しだァ!」

右手で3発、左手で2発交互に殴り、最後に回し蹴り。

ゴドンは態勢を崩した。

そしてソラは後方に下がった。

(全身が、熱い)

ゴドンはようやく態勢を立て直した。

(攻撃が,止んだ?)

見ると、目の前の少年は後ろに下がりながらゴドンとの距離を離していた。

(体力が尽きたか?)

仮にそれなりの修練を積んでいても、子供では長期戦は不利だ。

(馬鹿が。願ったりかなったりだ)

ゴドンは全身に力を練った。

「聞きたいことがある」

少年が、声を出した。

「…なんだ?」

「お前はどんな技を使っている?」

少年はそう言った。

(いきなりで、そして核心を突く良い問いだ)

その瞬間、ゴドンの懐でブザーが鳴った。

(救難信号…だ?)

ゴドンは手を懐に入れ、音を止めた。目の前の少年は気がついていないようだ。

(まさか、他の侵入者に遅れをとっているのか…?)

ゴドンは構えた。

(状況は確定できないが、いずれにしてもここを早く切り上げねば。ならば超短期決戦でケリをつける)

彼はそう決めた。

「教えねぇよ!」

ゴドンはソラに向けて突進した。

ゴドンはソラを殴りつける。

(…?)

ソラはゴドンの攻撃を直前に回避し、今はゴドンの右側にいた。

(こいつ、さっきよりも速くなっていやがる…)

ソラは、確かに速くなっていた。

だがそれ以前に、ソラの肉体はさらに熱を増し、全身に力が漲ってきていた。

(ゴドンに殴られて、逆に調子が良くなった気がする。敵の錯覚攻撃でも受けているのか…?)

ゴドンが拳を繰り出す。

ソラは右手に力を入れ、そのまま握りしめてゴドンの拳にぶっつけた。

そして弾かれた。

(弾かれた。でも痛みはない。力が足りなかったか)

ソラは両腕に力を入れ続け、ゴドンの攻撃を数回防いだ。

ゴドンに右手を掴まれた。そして投げ飛ばされる。

(痛みは、ない!)

投げ飛ばされても瞬時に攻撃体勢を取る。

(隙を見せず、ずっと力を入れ続ける。そうすれば遅れを取ることはない!)

互いの拳が飛び交う。

今まで体験したことのない、なんともいえない高揚感と、全身を纏う熱が一体化し、ソラの抗戦能力を底上げさせていた。

ゴドンは地面を叩き割り、埃が舞った。ソラは下がる。

「沈めてやるよ」

地面を破壊する音は聞こえ続ける。

(あの野郎、地面を全部壊すつもりか…?)

埃が周囲を包み込む。視界不良。

(奴はどこにいる…?)

瓦礫の破片が投げ飛ばされてきた。ソラは咄嗟に避ける。

(遠距離攻撃に切り替えたか…アウトレンジ戦法ってやつかよ)

次々に瓦礫が投げ飛ばされる。

ソラは力を集中し、右手で瓦礫を掴んだ。

ソラは前方に瓦礫を投げつける。視界不良で全く状況が掴めない。

(こっちからだって同じやり方で攻撃はできるさ)

ソラがもう一つの瓦礫を投げようとした瞬間、背後に殺気。

(…ハ!?)

ソラは振り返る。

「瓦礫投げはただのブラフさ」

ゴドンがそう言った。

「お前の注意を前に向けるためのな」

ゴドンがそう言った。

(地面を破壊して視界を悪くしたのは、瓦礫投げの効果をさらに高めるためだと思ったか?違う。本当の狙いは、敵の視野を狭め、原因を曖昧にして奇襲を仕掛けるためだ。)

ソラは両腕に力を加えた。

だがゴドンの方が早かった。

ソラは顔面を殴られ、抵抗能力を失った。

ゴドンは攻撃を加える。ものすごい速さで全身を殴られ、ソラは倒れた。

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