【小説】6話「見えない目元」

4 2026/08/25 21:19

6話「見えない目元」

「で、何悩んでるの?」

急に何なんだ..この人。

パーカーのフードのせいか、前髪のせいなのか目が見えない。

「さっきまでエクリプスと任務だったんでしょ?」

「、なんで知ってるんですか...?」

師匠が言ったとも思えないしな...。

「さーね。あいつ、よく変なこと言うからさ。」

そんな事を言って笑いかけてきた。

「あ、あの、エクリプスさんが『運が悪い』って言ってたんですけど、!」

恐怖を断ち切ってメメントに聞いた。

「あー、あいつまたそんなことを」

「どういう意味なんですか...?」

この人なら、あの言葉の意味がわかるのかもしれない。

「気になる?」

「、はい」

「なら、一つだけ覚えときな」

その一言に思わず息を呑んだ。

「あいつは、終わった後じゃなくて、終わる前に気づくんだ。」

「...?」

よく分からなかった。

終わる前?

「じゃ」

言葉だけを置いて、少し手を振り遠くへ行ってしまった。

本当に何なんだ、あの人。

エクリプスは終わる前に気づく?

考えても答えは出ない。

俺は部屋に戻ることにした。

_ノック、何回やるんだっけ。

3回やって、1回、だったか?

コンコンコン

数秒待つ。コン。

「どーぞ!」

「新人君おっかえりー!」

「ただいまです。」

部屋にはラディしかいなかった。

「あの、ノクス、さんは?」

「あー、ノクスは、教えに行った」

「教える?」

先生でもやっているのか?

「未だに才能を開花していない子達に、教えてやれってレヴァナントが頼んだんだ!」

俺の“先生”という勘は間違ってはいなかった。

「なるほど、俺もいつか教えてもらえるんですかね。」

まだ、わからないことのほうが多いしな。

「ノクス、教えるの上手いよ!」

「そうなんですか。」

「でも、一番教えるのが上手かったのはエクリプスなんだけどね。」

「え?」

「ま、今は忙しいし!」

そういえば、エクリプスは何処に行ったんだ...?

そうだ、ラディアントにも、『あの言葉』について聞いてみよう。

「エクリプスさんって、いつもあんな感じなんですか?」

「どんな感じ?」

「任務中に、『運が悪いな』って。」

「...。」

ラディの笑顔が一瞬だけ止まった。

「ま、あの人変わってるから!」

そういって笑った。

でも、その笑顔はどこか無理に作ったようにも見えた。

そのあと、部屋には沈黙だけが流れた。

さっきまであんなに明るかったラディの目元には光がなかった。

やっぱり、何かある。

どこか不気味に思ったが、初任務で張りつめていた気が、一気に緩んだ。

急にまぶたが重くなる。

…考えるのは、また今度でいいか。

心の中で「おやすみ」と呟き、布団に身を沈めた_。

7話へ続く

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