[小説]夏色 第四話「新しく、変わる」
一話:https://tohyotalk.com/question/302835
二話:https://tohyotalk.com/question/303046
三話:https://tohyotalk.com/question/303202
「あっ!海空じゃん!」
その明るく、聞き覚えのある声に海空は足を止めてはっとふりかえった。
ふりかえり、声の主を見ると・・・そこに立っていたのは近所に住む仲の良い高校生の星奈だった。
肩までの髪はゆるくウェーブをかけて焦げ茶色に染まっていた。
「星奈ちゃん‼」
星奈を見るなり海空はぱっと表情を明るくして星奈に駆け寄った。
その様子を見る限り余程、海空が星奈に懐いていることがよく分かる。
星奈も海空を見て表情が明るくなったように思える、その双方の様子から互いにかなり仲が良い事を感じさせた。
「ふふっ‥そういえばさっき見慣れない男の子が出てきてたけどあの子は?」
星奈は優しく海空の頭を撫でながらそう訊く。
「あれは私の新しい家族だよ星奈ちゃん」
「え?」
星奈の海空を撫でる手がピクリと止まった。その表情からは驚き、戸惑いなどの様々な感情が混ざっているように思えた。
海空は星奈に母が再婚し、新しい家族が出来たこと、兄が転入してくることなどのすべての経緯を話した。
星奈は頷きながら真剣に海空の話をちゃんと最後まで聞いてくれた。
「そうだったんだ。良かったねぇ」
そう言って星奈は優しく微笑んだ
その表情を見て海空は、ほっ・・・と安堵した
否定されたらどうしよう、って密かに心の隅でそう思っていたから認められて良かった。
「じゃあ学校行こっか?」
「うん!」
星奈は海空と同じ高校の3年生、なのでよく一緒に登校したりしている。
ちなみに凪も高校3年生である。
◆◆◆
「へぇ~!じゃあその凪君と同じクラスの可能性あるのか私」
「そうだね~その時は仲良くしてあげてね」
海空はそう言ってニコッと笑った
純粋なその笑顔に星奈は思わず笑みをこぼした。
◆◆◆
キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン・・・
「えーまずは今日転入生来ているので紹介します」
え?転入生?今日は兄だけじゃないの?
若干不安を胸にして転入生を待つ海空。
それに対して他のクラスメイトはどんな人が来るのだろうと話し、賑わっている。
その時・・・
ガラッ
続く