【小説】流れ星に願いを込めて1
「ほら、早くして。遅刻してもいいの?」
「「遅刻だけは嫌だ~」」
私の名前は、東雲結愛(ししのめ ゆあ)。中学3年生。
隣であわただしく準備をしてるのが、とってもそっくりな双子の七瀬萌花(ななせ もえか)
と七瀬玲斗(ななせ れんと)。中学1年生。今日は二人の入学式。
「あと30分したら入学式、始まるよ!」
移動や受付の時間を考えると結構ヤバい。
「「もう行けるよ!」」
「わかった!ついて来て!」
私たちの通う音海学園(おとみがくえん)は、少し遠いところにあるからスクールバスがでる。
全力で走ってギリギリバスに間に合った。バスの中には新入生と思われる子が10人くらいいる。
「ねぇねぇ、ゆあちゃん、どうしてゆあちゃんも来てるの?」
新入生でもない私が学園に向かっている理由は、
「生徒会長だからだろ。」
そう、玲斗くんのいう通り。生徒会長だからだ。生徒代表挨拶という大事な役を任されている。
そうこうしているうちに学園に着いた。
「萌花ちゃん、玲斗くん、またね。」
萌花ちゃんと玲斗くんは教室に、私は体育館に向かった。
体育館で、司会の先生が入学式の最終確認を始めた。
「そしてここで東雲が話して新入生退場だ。」
最終確認が終わり私は席に着いた。すると先生たちの方から話し声が聞こえてきた。
「今年は東雲由奈(ししのめ ゆな)さんの...のせいで新入生が例年より....」
「....私たちは何もして...」
聞きたくない話だ。私には1つ上のお姉ちゃんがいた。でもあることをきっかけに自殺してしまった。
思い出すと悔しくて涙がこぼれそうになる。
「新入生、入場。」
このアナウンスで、はっとなる。今は入学式に集中しないと!
「新入生、点呼。 1-1」
多くの新入生の名前が呼ばれてゆく。1組には二人ともいないみたいだ。
「1-2」
また多くの新入生の名前が呼ばれてゆく。
「七瀬玲斗」
「はいっ」
玲斗くんは2組みたいだ。3組でも4組でも5組でも萌花ちゃんの名前は呼ばれなかった。
とうとう最後の組
「1-6」
「七瀬萌花」
「はい!」
萌花ちゃんは6組みたいだ。そろそろ私の出番だ。
「生徒代表挨拶 生徒会長 東雲結愛」
会場が少しざわめいた。負けないぐらい大きな声をだして返事をする。
「はい。」
ゆっくり壇上にあがる。いつもは緊張なんかしないのに、今日は手が震えている。
礼をして、顔をあげる。合う目は全て好奇心と怪訝の二つ。涙がこぼれそうになる。
見渡すと玲斗くんと目が合った。玲斗くんは口パクで『ファイト』って言った。
玲斗くんの応援を胸に私は、口を開いた。
~続く~