空想小説｢青鬼｣ 第8話 悪夢

2:00､氷河は畳の上で寝転がっていた｡

氷河｢暇だなぁ…おまけに寝れねぇ…持ち物の点検でもしようかな…｣

2ｰ3にて､卓郎は目が覚めていていた｡

卓郎｢ん…2時か…あいつ大丈夫かな…ちょっと行くか…｣

卓郎は氷河のいる2ｰ2へ向かった｡

氷河｢あ､これ入れたまんまだったのか｡ま､今の状況を考えたら､入ったまんまでもよかったな…誰かいるのですか?｣

氷河は静かに言った｡すると､卓郎が入ってきた｡

卓郎｢氷､起きてたのか｡…って､何だ､その勾玉は｡｣

氷河の手元を見ると､片側は水色､もう片側は白色の一対の勾玉があった｡

氷河｢これですか?これは…貰い物です｡何か｢一体の勾玉｣っていうらしいですが｡｣

卓郎｢え…じゃあそれ使ったら俺達合体できるってことか?｣

氷河｢いや､これ本当にできるかわからないんですよね…名前的に出来そうですが…｣

卓郎｢じゃあ､やってみようぜ!｣

氷河｢いや､やめとこ｡実際やったこと無いから…それに今から寝るので｡｣

卓郎｢あぁ､わかった｡じゃあおやすみ｡｣

卓郎は2ｰ3に戻っていった｡

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氷河は夢を見ていた｡それも…

氷河『ただいまー!…あれ?荒れてる…皆さーん…?……え…?なにこれ…血…?嫌な予感が…皆さん!…!!!えっちょっ…!!ひろしさん!たけしさん!美香さん卓郎さん!!何で…皆…!何で…何で皆殺されてるんですかあああぁぁぁ!!!何で皆死んでいくんですかああああ!!!うわああああぁぁぁぁ!!!』

かなりショッキングな悪夢を見ていた為､魘されていた｡そんな中､誰かが自分の事を呼ぶ声が聞こえるような気がした｡

卓郎｢…い……お…氷…おい…氷…!おい､氷!｣

氷河｢っはっ!!はぁ､はぁ､はぁ…｣

卓郎の声で氷河は飛び起き､右眼を押さえ､荒い息遣いをした｡

卓郎｢氷…お前､大丈夫か…?｣

氷河｢え､あ､え､あ､あ､は､はい､大丈夫です…｣

氷河はかなり気が動転していた｡

卓郎｢顔が大丈夫じゃないぞ｡｣

氷河｢大丈夫です大丈夫です｡お気になさらず…｣

氷河は引きつった笑顔をした｡

卓郎｢とりあえず､次の所へ行くらしいから行くぞ｡｣

氷河｢あ､了解です｡｣

卓郎と氷河はひろし､たけし､美香が待つ1階､居間へ向かった｡

卓郎｢すまん､待たせた!｣

卓郎が氷河を連れて入ってきた｡

美香｢遅いわよ､氷ちゃん!｣

美香はちょっぴり膨れっ面で言った｡

氷河｢さーせんさーせん…｣

氷河は気分がノらなそうに言った｡氷河の顔を見たひろしは口を開いた｡

ひろし｢…?氷河､顔色が悪いですよ?｣

たけし｢氷河､何かあったのか…?｣

たけしが心配すると､氷河は笑って言った｡

氷河｢あーいえいえ､お気になさらず｡｣

手を振り､笑顔で言うと､ひろしは立ち上がり､氷河の方向を向いて言った｡

ひろし｢…氷河｡昨日言いましたよね…?強がらないで下さい､と｡｣

ひろしの低く､よく通る声で氷河に言った｡

氷河｢あー…ちょっと…ショッキングな物を見てしまった…って感じですかね｡｣

ひろし｢内容は?｣

氷河｢は､話してたらきりがないですよ!早く本題の行き先の話をしましょう…!｣

氷河はたまらず､話を無理矢理そらした｡

ひろし｢まぁ､分かりました｡ですが…道中で話して下さいね｡｣

氷河｢う､はい…｣

氷河は目を少し反らして言った｡

ひろし｢では､どこに向かいますか?｣

ひろしが地図を広げて言った｡

美香｢青雅洞窟にしましょ!｣

美香は印の1つを指さして言った｡

卓郎｢じゃあ､そこに向かうか!｣

卓郎がそう言うと､水刃さんが入ってきた｡

水刃｢行き先は決まったの?｣

たけし｢はい､青雅洞窟に…｣

それを聞くと､水刃さんは少し不安な表情を見せた｡

水刃｢青雅洞窟ね…あそこ､かなり年季?がいってるのよ｡だから､一度大きな衝撃を入れると､多分道中が全部崩れると思うわ｡気をつけてね｡｣

たけし｢ひえぇっ…｣

たけしはさっきので少し怖気づいた｡

ひろし｢ありがとうございます､水刃さん｡｣

美香｢じゃあ､行きましょ!｣

早速行こうとすると､氷河が止めた｡

氷河｢あ､ちょっと待って｡ナイフ､部屋においたままだから｡｣

卓郎｢そうか､手短に頼むぜ｡｣

卓郎は頷き､氷河を行かせた｡

氷河｢了解です｡｣

と言うと､氷河は階段を駆け上がって部屋へ入っていった｡そして､先刻見た悪夢の事を少し考えた｡

氷河｢…はぁ…正夢になんねーよな…?さてさて､ナイフは､と…｣

1分もすると､氷河はバックを掛けて戻って来た｡

氷河｢おまたせしました｡｣

ひろし｢では､行きましょうか｡｣

美香｢今日も勝ち進むわよ〜!!｣

たけし｢今日も戦う気満々だなぁ…｣

氷河｢戦う前提ですか…やり過ぎないない程度でお願いしますね…｣

卓郎｢じゃあ､行くぜ!｣

美香｢行って来ま〜す!｣

水刃｢…え?あぁ､行ってらっしゃい!｣

唐突に行って来ますと言われて戸惑ったが笑顔で手を振って見送った｡

たけし｢い､いねぇよな､いねぇよな､青鬼いねぇよな…!!?｣

氷河『某アニメか?』

たけしを見てそんな事を考えると､ひろしが氷河に言った｡

ひろし｢では氷河､教えて下さい｡｣

氷河｢え､何をですか?｣

ひろし｢言ったじゃないですか｡道中で話してください､と｡｣

氷河はどういう事か理解すると､重そうに口を開いた｡

氷河｢あぁ…わかった｡手短に言うと…皆さんが殺されている夢でした｡｣

美香｢えっ…｣

珍しく美香が絶句した｡

卓郎｢なるほどな…だったらああなってたのも頷けるな…｣

卓郎は目を瞑り､うなずいた｡

たけし｢ショッキングどころじゃねぇよ､トラウマじゃねぇか…｣

たけしは声を震わせながら言った｡

ひろし｢だから顔色が悪かったのですね…｣

美香｢今更だけど､大丈夫なの､氷ちゃん…｣

氷河｢あー､大丈夫ですお気になさらず｡｣

美香｢な､ならいいけど…｣

氷河｢そんな顔しないでくださいよ｡心配しなくても大丈夫ですよ｡｣

氷河はいつもの笑顔で答えた｡

ひろし｢…何かあったらまた教えて下さいね｡｣

氷河｢………｣

氷河は答えたくなさそうに黙りこくっている｡

ひろし｢返事は?｣

氷河｢……はい…｣

ひろしの圧に押され､不服そうに答えた｡

卓郎｢えーと…お､ここだな｡｣

卓郎はそう言い､足を止めた｡5人の目の前には大きな洞窟への入口があった｡

美香｢だいぶ深そうね…ま､関係ないけどねっ!｣

美香は入り口を覗き込みながら笑顔で言った｡

氷河｢頼もしいですね…それじゃあ､行きますか｡｣

美香｢たけしもビビってないでさっさと行くわよっ!｣

たけし｢あああぁぁぁあああ…｣

5人は青雅洞窟内に入っていった｡

ひろし｢やはり､暗いですね…｣

氷河｢まぁ洞窟ですからね｡｣

美香｢…!｣

美香が前方を睨みつけて足を止めた｡

卓郎｢どうした､美香｡｣

美香｢何かいるわ…!｣

奥から4体の青鬼の顔から蝙蝠の翼が生えたような奴がこちらへ迫ってきているのだ｡

氷河｢任せてください!｣

氷河はナイフ片手に走り出した｡

卓郎｢お､おい氷!お前怪我は｣

どうした､と言い切る前に､氷河は翼辺りを斬りつけ､速攻で倒していた｡そして､卓郎の方に向き直る｡

氷河｢すみません､卓郎さんなんて言いましたか?｣

卓郎｢あぁ､いや…見た感じ大丈夫そうだし…何でもないぜ…｣

卓郎は苦笑いしながら言った｡

氷河｢そ､そうですか｡｣

ひろし｢…い､行きましょうか…｣

ひろしも少し苦笑しながら言った｡

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5人は目の前の物を見て足を止めていた｡

美香｢進んだはいいけど…｣

卓郎｢何だよこのいかにも『開けて下さい』的な扉は…｣

氷河｢やっぱり突撃するんですか?｣

氷河は半分なんて答えるか分かっていながらも美香に聞いた｡

美香｢勿論よ!｣

氷河｢うん､知ってた｡｣

氷河は案の定の答えで呆れて言った｡

ひろし｢では､警戒して行きましょうか｡｣

ドアは軋んだ音を立てて開いた｡

ひろし｢な､何ですかこれは…?｣