空想小説「青鬼」 第20話 途方もない熱気
氷河「ううっ…」
氷河はかなり辛そうな表情をしていた。
美香「ちょ、氷ちゃん大丈夫なの…?」
氷河「うう…今回は冗談抜きでキツイですね…」
美香は氷河を心配していた。
ひろし「暑いのは苦手なのですね。」
卓郎「代わりに寒いとこでは平然としてるけどな…」
氷河「あ…はは…」
氷河は苦笑いした。
たけし「そういや…ひろしはマフラーつけてて暑くないのか…?」
たけしは夏場でもマフラーを付けているひろしに聞いた。
ひろし「えぇ、外さないと耐えれない暑さではないので。」
卓郎「色んな意味ですごいな…」
卓郎は半呆れで言った。
氷河「あ…あゃべ…青鬼いる…」
見ると、前から青鬼が迫ってきていた。
美香「邪魔よ!どきなさい!」
美香は速攻で青鬼の横腹に蹴りを入れた。青鬼は落ちていった。
たけし「おおおぉぉ…」
たけしはこんな状況でよく動けるな、と思いながら言った。
卓郎「にしたって暑すぎるだろ…」
卓郎も険しい表情をしながら言った。
美香「暑いの得意な卓郎が言うなんて相当よ?」
美香も少し辛そうな表情で言った。
ひろし「卓郎がそこまで言うという事は…氷河は…」
たけし「あっ…」
氷河「頭痛い…」
最後尾の氷河を見ると、完全にのびかけていた。
卓郎「…やばくね?冗談抜きで…」
美香「えちょ、大丈夫なの…?今からでも戻る…?」
美香が氷河に肩を貸しながら言った。
氷河「……です…」
氷河が何かを言った。
ひろし「…えっ?」
氷河「だめです…せっかくここまで来たんです。今更のこのこ帰るわけにはいきません。後、根性論で何とかなります。」
氷河は覚悟を決めているような表情で言った。
たけし「何とか…なる…もんなのか…?」
たけしは不安そうに言った。
ひろし「やはり危険です。氷河は私が連れて帰」
氷河「駄目です!!戦力を削るわけには行きません!自分は大丈夫ですから…!」
ひろしが言うと、氷河はその声を妨げるように言った。
卓郎「…しゃーねーな。遅れんなよ?」
ひろし「卓郎!」
卓郎の発言を聞いたひろしは卓郎の考えに反発するような声を出した。
美香「まぁ、氷ちゃんが大丈夫っていうのなら大丈夫なんじゃないの?」
ひろし「美香まで…」
美香「折角の氷ちゃんの頑張りを受け入れないって言うの!?」
美香はひろしに怒ったように言った。
卓郎「そうだぜ!氷の頑張りに応えてやれよ、ひろし!!」
卓郎も美香の言葉に被せるように言った。
ひろし「熱中症や脱水症状を舐めてはいけませんよ…!下手をすると死に至ることもあるんです…!」
ひろしは氷河の身の安全を考え、食い下がった。
氷河「ちょ、皆さん…こんな所で…仲間割れしないでくださいよ…」
氷河は口論をする3人を見てあわあわしていた。
たけし『俺は蚊帳の外かよ…』
氷河「ん…?全員伏せろ!!」
ひろし たけし 美香 卓郎「!?」
全員が伏せた瞬間、頭上にナイフが飛んだ。氷河が投げたそのナイフは、口論する3人に迫っていた青鬼の眉間に刺さった。
氷河「ハァ…ハァ…こんな所で…仲間割れ…してる暇あったら…さっさと行きましょう…?」
卓郎「あ、あぁ、分かった…」
美香「そ、そうね…」
たけし「そそ、そうだなっ…!」
ひろし「え、えぇ…」
何故か、ナイフが口論を止めたようだ。(思考放棄)
たけし「もうさ、足踏み外したら一発アウトだから足がすくむぜ…ガタガタガタガタ」
たけしは下をちら見しながら言った。
美香「落としてあげよっか?」
たけし「冗談じゃねえっ!!」
美香「冗談よ♪」
美香は口元に手を当てて笑った。
氷河「冗談じゃなかったら…絶句している所でしたよ…」
氷河は美香に呆れながら言った。
ひろし「そもそもの発言が怖いのですよ、美香…」
ひろしも氷河に合わせて言った。
卓郎「はははっ…ん、広い所にでたな。」
卓郎が薄く笑うと、体育館ほどの空間に出た。
氷河「そうですね…何か既視感があるのは気のせいでしょうか…?」
ぼんやりとした視界の中、氷河は言った。
ひろし「…いえ、気のせいではありませんね。」
全員が敷地内に入ると、青い光が漂ってきた。
卓郎「青光…確定だな。」
たけし「あのデスゲームじゃねぇかああああぁぁ!!帰りたい…」
たけしはしゃがんで顔を手で覆った。
氷河「能力が使える…なら…!」
氷河が指を鳴らすと、青白い粉のような物が散らばっていった。
ひろし「…だんだん涼しくなってきましたね…」
ひろしの言う通り、この青白い粉が暑さを吸収し、段々と涼しくなっていた。
氷河「よし…これで思い通り動けます。」
氷河が明るい声で言った。
卓郎「おっ、いつもの氷の復活だな!」
卓郎は氷河の肩を叩いて言った。
氷河「はい!…誰か来ますね。」
氷河は向こうの出入口のような所に目線を向けた。そこから声が聞こえてきた。
???「ようこそおいでくださいました、雪矢の弓使いさん、怖雷の槍使いさん、念花の大剣使いさん、双炎のクナイ使いさん、雪華のナイフ使いさん。」
人影が見えてきた。声の主は青年の姿をしており、白色の髪、毛先に緑色のグラデーションがかかっていた。服は白衣のような物を着ていた。
卓郎「…何だその二つ名?」
唐突な言葉に卓郎は少し困惑した。
美香「何か私達の分まで作られてるわね…」
美香も少し困惑した様子で言った。
???「こちらでは、名前が分からない者は、二つ名を独自で作って、その名で呼ぶのですよ。」
青年は律儀な口調で教えてくれた。
たけし「ま、まぁかっこいいけどさぁ…」
たけしはむず痒そうに頭を掻いた。
ひろし「…ん?氷河、どうしたのですか?」
ひろしは身構えている氷河を見て言った。
氷河「お前、殲滅軍だろ。」
氷河は青年を睨みつけて言った。
アルト「…!おやおや、流石ですね、雪華のナイフ使いさん。一瞬で正体を見抜くその判断力。その事実がバレてしまった以上、私も戦わなくてはなりませんね。まずは自己紹介を。私はアルトと申します。計画係となっております。以後、お見知り置きを。」
青年の男、アルトが礼儀正しく言った。
美香「覚える必要なんてないわ!お前はここで倒されるのだから!」
美香は持ち武器の大剣・花錦(はなにしき)をアルトに向けて言った。
アルト「相当な自信ですね、念花の大剣使いさん。では、ここでしばらく青鬼さんと戦っていて下さい。」
アルトは上の観客席のような所に体を浮かせて向かい始めた。
卓郎「あ、ちょ待て!!」
アルト「この青鬼を倒すことが出来れば、皆さんと戦って差し上げましょう。」
観客席のような所に着いた時、アルトはそう言った。
ひろし「奴も浮くのですか…殲滅軍は皆飛べるのですか…?」
ひろしは呆れながら言った。
アルト「木鬼、出番ですよ。」
アルトが言うと、奥からカサカサと小さい木が出てきた。
たけし「あ、あいつ青鬼を使役してるのかよ…」
たけしは怖気づいてしまった。
卓郎「で、木鬼って奴は樹木鬼のちっちゃい版ってところか。」
卓郎は現れた木鬼を見て言った。
木鬼「ヨクモオ父サンヲ殺シタナッ!」
木鬼がカタコトで喋った。
美香「あ、この子も喋るのね!カタコトで言うのが何か可愛いわね…」
たけし「えぇ…」
美香の発言にたけしはかなり引いたようだ。隣で氷河は少し考えていた。
氷河『お父さん…?あぁいや、そう呼んでるだけか。青鬼に血の繋がりなんかあるわけないからな。青鬼の繁殖方法は始祖が生み出すか、人を喰らい、腕とか足とかの食べ跡が青鬼と化すことで増えるからな。…いやでも、ワンチャン殲滅軍があの劇薬飲ませて人を青鬼化させてる可能性も…』
氷河が考え込む中、話は結構進んでいた。
卓郎「じゃ、今回は俺が倒すとするか。」
卓郎は持ち武器のクナイ・火輪を両手に持って言った。
美香「頑張って来なさいよ!」
美香は卓郎の肩をバンっと1回叩いて言った。卓郎が入ると、結界が張られた。
卓郎「さぁ、来い!」
卓郎はクナイを構えて言った。
木鬼「胞子ィ!」
木鬼が紫がかった黄色い胞子を飛ばしてきた。
たけし「あ、樹木鬼と同じ技を放って来たな…」
卓郎「攻撃は最大の防御だぜ!フレイトルネード!!」
卓郎は腕を振るい、炎の渦を作り出し、木鬼をその中に閉じ込めた。
氷河「クナイ構えてたのに使わないんだ…」
木鬼「効カナイネ!ソンナ甘ッチョロイ炎ナンカ!」
しかし、渦が消えると、木鬼はなんとも無い状態でピンピンしていた。
卓郎「えー、マジかよ…」
卓郎は少しだるそうに言った。
木鬼「弱イナァ!オ父サンヲ殺シタ奴ヨリ1万倍弱イナァッ!アヒャヒャヒャア!」
木鬼はめちゃくちゃ煽ってきた。
美香「可愛いとか言ったけど嘘だわ…あいつ今直ぐにでもボコして殺りたいわ…」
美香は殺意をたぎらせて言った。
氷河「あー…」
木鬼がお父さんと呼ぶ樹木鬼を倒した張本人の氷河は微妙な反応をした。
卓郎「んー…あっ、そうだ!」
卓郎は何かを思いついたようだ。何やらクナイの刃を炎で熱しているようだ。
卓郎「よし!試し打ちと行くか!名付けて[内焼の刃!]」
卓郎が橙色に染まったクナイを木鬼目掛けて投げつけた。クナイは木鬼にめり込んでいった。
木鬼「痛イヨォ…デモ効カナイネッ!」
卓郎「ふーん、本当にそうか?」
卓郎が腕を組んで言った。直後、クナイがめり込んだ所から火が出た。
木鬼「ナ、何ダ…!?カ、体ガ…!!」
ひろし「か、体から火が!?」
木鬼「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」
木鬼は燃えて消失した。
卓郎「決まったぜ!」
美香「さっすがよ〜、卓郎っ〜!」
美香は歓喜して喜んだ。
たけし「あ、あれ、でも…結界消えてないぞ…?」
たけしが引き気味に言った。
美香「確かに、言われてみればそうね…」
喜んでいた美香は落ち着いて考えた。
ひろし「つまり、それを意味する事は…」
氷河「まだ、終わっていない…!」
木鬼「ウオオオオォォォォォッ!!!!!」
木鬼が雄叫びを上げて大量に突撃してきた。
たけし「いっぱい来たあああぁぁ!!」
大量の木鬼を前に、たけしは発狂のような声を出した。
アルト「この量を双炎のクナイ使い一人にさせるのは多勢に無勢ですので、残りの4名も戦いに加わっても構いませんよ。」
そういい、アルトが指を鳴らすと、結界が消えた。
美香「あら、向こうが殺っていいっていうのなら遠慮無く殺らせてもらうわ!」
美香が大剣片手に走っていった。
ひろし「先程から分析を行っていたのですが、どうやら、本物が一体いて、それ以外はクローンのようです!」
ひろしが大きめの声で皆に伝えた。
卓郎「じゃ、シラミ潰しってとこか。」
卓郎はクナイを軽く上に投げてクナイをくるくると回転させて柄を持つという(文章ではかなり分かりづらい)行動をしながら言った。
氷河「いやこれ多分さ…本物を確実に狙わないと、クローンが増えて体力を浪費するだけじゃ…」
氷河はナイフ片手に卓郎に言った。
卓郎「確かにそうだな…短期決戦にしないと行けないってことか…」
美香「でも、とりあえず倒しまくるって言うのは変わりないわね!」
そう言うや否や木鬼を薙ぎ払っていった。
たけし「今日も美香さんは突っ走っていくなぁ…」
たけしはそう言うが、最早見慣れた光景である。
ひろし「とは言っても、早く本物を倒さなくては…」
氷河「ひろしさんの分析能力でも中々分からないんですか?」
ひろし「えぇ。すみません…」
氷河「ひろしさんが謝る事ではありませんよ。」
美香「うーん…じゃあ、次の奴を作り出す前に攻撃しちゃえばいいんじゃない?」
美香の発言に氷河は反応した。
氷河「…それだ。そういう事なら任せて下さい。」
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氷河「美香さん手のひらアイススピナー(ドリル)だったな…」
闇氷「何でモンハンの技をいれたんだよ…」
>>8
アルト「私はそこまで熱血では無いですy」
霞「(無言で鳩尾を肘打ち)つまりは…炎属性(?)って事かな?」
>>12
霞「派生カートリッジもそんなにたくさんないしな…そもそもIFですらほぼ使ってないし…使ったの涼夜の奴しかない…」
>>18
霞「上がってるならありがたいけどね〜…未だ角度をつけるのが上手じゃ無いからね…」
>>20
霞「今描いてる21話のサムネも角度ありだから…慣れでどうにかするしかないね。」