空想小説「青鬼」 第11話 千本のナイフの雨
氷河が腕を広げると、大量のナイフが宙を舞っていた。これには全員驚愕した。
美香「えええええっ!!?」
卓郎「あんだけのナイフどこにしまってたんだよ!?」
ひろし「いえ、あれは氷河の氷結属性の能力で作ったナイフの形をした氷ですね。」
ひろしは冷静に分析能力で状況把握をした。
たけし「あ、ああ、なるほど…」
ひろしの言葉でたけし達は納得した。
氷河「霜符・サウザンナイフレイン!!」
腕を下に振り下ろすと、上空のナイフが一斉に樹木鬼目掛けて雨の如く降り注いだ。
美香「う、うわぁ…すごいわね…」
たけし「えげつない量のナイフが…」
卓郎「まぁ、あれだけやれば倒せてるんじゃないか?」
卓郎は腕を伸ばしながら言った。
氷河「ちょ、卓郎さんそれフラグ」
氷河は卓郎の方を向いて言った。
ひろし「………!!氷河、まだ倒せていません!!」
氷河「うわあああぁぁぁ!!?」
樹木鬼「この程度で死ぬと思ったか弱者が!!」
氷河が後ろを向いた所を突かれ、腕のような物に捕まり、身動きが取れなくなってしまった。
たけし「や、やべぇ!氷河が拘束されしちまったぜ…!!」
卓郎「フラグ回収しちまったよ、俺…」
卓郎が少し萎えていると、美香が励ますように言った。
美香「卓郎が気に病むことはないわよ!悪いのは氷ちゃんの攻撃でやられなかったあいつが悪いのよ!」
たけし「今、何かすごい暴論が飛んだような…」
ひろし「全く…」
ひろしは3人に呆れながらもこの状況は非常にマズいと考え、打開策を考えていた。
樹木鬼「おらあああ!!!ウィップブリンチ!!」
氷河「っぐっ…!」
氷河は鞭のような蔓で何度も叩かれた。
卓郎「やばいやばい!!氷がリンチされてるって!!」
卓郎は顔を引きつらせながら言った。
たけし「このままじゃ氷河が殺られちまうぜ…!!」
たけしは怯えながら言った。
美香「でも、結界が張られててどうすることも出来ないわ…!」
美香が結界を何度も叩きながら言った。
ひろし「可能な事は、声で指示を出すことですね…」
ひろしは静かながらも、切羽詰まった声で言った。そんな事を言っていたら、氷河は何十回も蔓に叩かれ続け、腕や足が赤く腫れていた。氷河は薄く目を開け、樹木鬼を睨みつけた。
氷河「…っ…ぐ…」
喉もかなりやられ、声にならなかった。
樹木鬼「ハハハハハ!青神である私を倒すのは不可能なのだよ!!」
樹木鬼は高らかに笑いながら言った。
氷河「っ…じゃあ…何…で…青神…である…蜘蛛鬼…は…やられたの…かなぁ…?」
氷河はしゃがれた声で辛そうに言った。
樹木鬼「ふん、彼奴は我ら青神の中でも最弱…負けて当然なのだよ。ハハハハハ!!」
樹木鬼は冷めた声で言った後、あざ笑うかのように高笑いした。
氷河「お前…最…悪…だな…」
氷河が下を向いたまま、低い声で言った。
樹木鬼「なんだと?」
樹木鬼は氷河を睨みつけた。
氷河「仲間の…事…侮辱…してやがる…敵…とはいえ…神経が…苛立つ…!!アイス…パレッド…!!」
氷河は2、3cm程の氷の粒を生成し、銃弾の速さの如く、樹木鬼にぶつけた。が、全く効いている様子がなかった。
樹木鬼「そんな粒っころで倒せると思ったか、弱者!!」
そう言い放ち、また蔓で氷河の体を打ちつけた。
氷河「っ…!!」
氷河は痛さで顔を歪ませた。
樹木鬼「さぁ、歯を食いしばって倒せない事を絶望するがいい!!」
そう言い、笑いながら何度も蔓で体を打ちつけた。氷河は何度も蔓で打たれ、意識が薄れるのを感じた。そんな意識を何とか取り留めながら、氷河はぼんやりとする頭で考えた。
氷河『さっきのといい、普通に攻撃しても意味がないのか…もしかしてどこかにコアみたいなのがあって、そこを壊さないとダメージを与えられない…とかか?…駄目だ、まともに頭が働かねぇ…まぁ、本気でやったら秒で終わるけど、流石に今は自分の「愛刀」を使いたくない。とりあえず、今はこの考えに賭けるしかないな…でも、本気の姿は見せられない。…ちょっと申し訳ないけど…』
「…、頼む。」
氷河がかすれ声で何かを頼んだ。すると、一瞬で空気中に斬撃が走り、氷河を捕まえていた腕が切り落とされた。氷河は腕と共に地面に崩れ落ちた。
樹木鬼「…!?何が起きた!?」
氷河「…さぁ…何が…起こったん…でしょうねぇ…?」
氷河はよろよろと立ち上がりながら言った。
樹木鬼「さては…この場に別の人間がいるな!?どこだ!!」
樹木鬼は四方八方に蔓を打ちつけ、虱(しらみ)潰ししようとしていたが、全く当たった手応えがなかった。
氷河「さっきの…斬撃を…放った人は…この場には…きっともう…いないよ。」
樹木鬼「…まぁいい。そんなズタボロの体ではもう戦えないだろう。この場で死ぬがいい!」
樹木鬼は勝ち誇った声で言った。それを聞いた氷河は静かに口を開いた。
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>>6
霞「あ、レインさん…じゃなくて、零さん帰ってたんですね。…で、どうしました?何か考えてますけど…」
>>8
霞「マジかよおい…まぁ一応知ってるけど…霜符・サウザンナイフレインはあの子の愛用技だね。」
>>10
霞「いやー、あの子も本気出したらあいつくらい速攻で倒せるんだけど…流石にひろしさん達の前ではまだ見せれないからね〜」