空想小説「青鬼」 第13話 1つの打開策
美香「きゃあっ!」
美香が影美香に蹴られてふっとばされてしまった。
卓郎「美香っ!!」
氷河「皆さん、構えてください!!」
氷河はナイフ片手に皆に言った後、影氷河に立ち向かって行った。
美香「私だってやられてばかりではないわよ!サイコブレイク!」
美香は2、3cmの球を影美香にぶつけた。が、ほとんど怯む様子もなく、無表情で攻撃を続けた。その光景を見た卓郎は唖然としていた。
卓郎「う、嘘だろ…あの美香がものの数秒でここまで押されるなんて…ってあぶねぇ!!」
卓郎はよそ見している内に迫っていた影卓郎の攻撃を氷河に教えてもらった方法で作ったクナイで防いだ。しかし、すぐさま次の攻撃が飛んできてダメージを負ってしまった。
ひろし「氷河に教えてもらった方法で弓を作りましたが…反射が厄介ですね…」
ひろしは青雅洞窟で氷河に教えてもらった方法で弓矢を作り出して戦うが、矢は全て反射され、結果的に自分がダメージを負う羽目になった。
たけし「うわっ…!エ、エレキスピア!」
たけしも槍を投擲(とうてき)武器として作り、それを影たけしに向かって投げるが、一発も当たらず、体力を浪費していた。
氷河「…!」
『は、早い…!!』
氷河は素早く相手の動きを見切り、ナイフを振るうが、青雅洞窟で受けたダメージも相まって動きが鈍っていた。そして、それは影氷河にとっては絶好の的。氷河の皮膚には切り傷が増えていった。
美香「こ、この影、私達と同等の強さみたいね‥」
美香は一度後ろに飛び退いて、卓郎と背中合わせになった時、そう呟いた。
卓郎「あぁ。だがこいつら、だんだん強くなってないか…?」
卓郎がそういった瞬間、ひろしの声が聞こえた。
ひろし「二人共!避けてください!!」
その声を聞いた二人はとっさに二手に分かれた。直後、影美香と影卓郎の攻撃が飛んできた。氷河は怪我もあって劣勢を強いられていた。
氷河「クッ…じゃあこれならどう…?霜符・サウザンナイフレイン!!」
氷河は数多のナイフを影氷河に向けて放つが、影氷河も全く同じ技を放ち、ナイフは一本も影氷河の元には届かなかった。
氷河「…な…!!同じ技まで…!!」
美香「うわぁぁっ!はぁ、はぁ…同じ強さのはずなのに…何で…」
美香は息を切らしながら言った。
卓郎「くっ…こいつら、やっぱり強くなって…」
卓郎が口元の血を拭いながら言うと、ひろしが口を開いた。
ひろし「っ…違う…影が強くなった訳ではない…こちらが疲労でだんだん弱くなっているのです…!」
それを聞いた卓郎は、顔をしかめて言った。
卓郎「なっ…それならさっさと決めねぇとどんどん分が悪くなっちまう訳か…なら…俺の即興技をくらえ!獄炎・インフェルノファイア!!」
卓郎が腕を前に突き出すと、極太の紅い炎が放たれた。影卓郎も無言、無表情で黒色の炎を放った。
美香「やっちゃって!卓郎!」
美香は声を上げて言った。しかし、段々と黒い炎が押していく。
たけし「ま、待って押されてる…!!」
卓郎「うわあああああっ!!」
卓郎は押し負け、吹き飛ばされてしまった。
氷河「卓郎さん!!」
氷河は卓郎のそばへ駆け寄ろうとしたが、影氷河のせいで行けなかった。
卓郎「ぐっ…く…そっ…彼奴等に何か弱点とかねぇのかよ…!」
卓郎は薄く目を開け、影を睨みつけながら悔恨(かいこん)のこもった声で言った。
ひろし「影が疲れない原因は水刃さんでしょう。水刃さん本体が影たちに力を与え続けているので、水刃さんをどうにかすることが出来れば、影の力も落ちるはずです…」
ひろしは分析能力を使い、影の力の源を突き止めて言った。
たけし「どうにかって言ったって…影相手でもう手一杯なのに…どうしたらいいって言うのさ…」
そんな事言われても、という感じでたけしは言った。卓郎の元には、美香が向かっていた。
美香「卓郎、大丈夫?」
卓郎「あ、あぁ。…ってしまっ…!!」
2人の元に、影の攻撃が迫ってきていた。
氷河「やめろっ!!」
「…うわあああっ!!」
氷河は2人を庇い、吹き飛ばされてしまった。
美香「氷ちゃん!」
卓郎「氷!!」
氷河は木の幹に背中を強打した。
氷河「ガッ…!!ゲホッゲホッ…木に思いっきり…」
膝をつき、顔を歪めて痛みを堪らえ、もう一度立ち上がろうとする氷河の耳にカランッ...という音が聞こえた。音の方向を見ると、一対の勾玉が落ちていた。
氷河「…!一体の勾玉か…そういや昨日の夜上着に入れてたっけ…さっき木にに打ちつけられた時に落ちたのか…」
氷河がぼんやりそう考えていると、ふっと1つの考えが頭をよぎった。
氷河『…今こそ…これを使う時じゃないか…?』
氷河は目を細め、過去の事を思い出した。
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「あ、あの…」
「ん?どうしたの?」
「それ、なんですか?髪飾りですか?」
「これ?これは、[一体の勾玉]って言うんだ。まぁ、髪飾りっちゃ髪飾りだね。でも、君には説明するより、実際に見せた方がいいかな。」
「何をする気ですか?猫と鳥を連れてきて…」
「まぁまぁ、見てて。これを猫と鳥に付けると…」
「わぁ!猫に鳥の翼が!?」
「そう。見た通り、この勾玉を身に着けた同士は合体するんだ。水色の勾玉を付けるのがベースの人、白い方はベースの人に力を貸す人が付けるんだ。でも、この成功例は動物同士、そして、私をベースとして合体する人だけ。普通の人同士がやると、拒絶反応を起こしてしまうんだ。」
「そうなんですね…」
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氷河『あの時の話から考えれば、今の自分なら使えるはず…』
そう考えていると、たけしが駆け寄ってきた。
たけし「氷河、大丈夫か…?」
たけしが氷河の心配をすると、氷河は背中の痛みはどこへ行ったのか、スクっと立ち上がった。
氷河「…よしっ!たけし、ちょっと力を貸してくれないか?」
たけし「えっ!?い、いいけど…ど、どういう事だ…?」
たけしは突然の口調の変化に驚きながらも、何をすればいいのかを聞いた。
氷河「これを髪につけてくれ。」
氷河は勾玉を2つに分離して、白色の勾玉を渡した。
たけし「え、勾玉を…?何で」
氷河「いいから早く!」
たけしの問いかけを完全無視で早く付けるよう促した。
たけし「え、あ、あぁ…」
たけしは氷河の声に押され、髪に勾玉を付けた。
たけし「つ、付けたけどこれがなん」
たけしが言い終わる前に、2人は光に包まれた。それは宙に浮き、眩い光を放った。
美香「ちょ、ちょっと、一体どうなってるの…!?」
ひろし「わ、私にも何が起こっているのか…」
2人は何が起きているのかさっぱりだったが一体の勾玉の存在を知っていた卓郎はなんとなく分かっていた。
卓郎『氷、あれを…一体の勾玉を使った…のか…!?』
オーヴァー「あぁ!?何が起こってやがんだ!?」
どうやらオーヴァーも何が起こっているのか分からないようだ。やがて光が消え、人影が見えてきた。
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>>2
霞「あの宇宙人は色々と強すぎるから…まぁ、そうだね。カートリッジの説明はまた今度するけど、原点と言えるかな。」