空想小説「青鬼」 第42話 見覚え
氷河「………ぅ……」
猛吹雪の中、目が覚めた。
氷河「どこだ…ここ…」
起き上がり、辺りを見渡しながら考えた。
氷河「そうだ…俺…敵前で倒れて…じゃあ死んだのかな…髪が黒いのもなんか納得いくわ…」
立ち上がり、悪い視界の中見回すとなにかの破片があった。
氷豐ウ「ん…?これ…刀の破片か?」
それはどことなく色褪せた刀身の破片だった。見れば所々にこの破片が落ちている。
豌キ河「…集めてみようか…」
なんとなくで刀の破片を集めて歩いていると、ずっと奥に何かが見えた。
豌キ豐ウ「あれは…なんだ…?」
奥へ進めば進むほど吹雪が強くなってきて、視界が悪くなってきた。体に当たる雪も痛くなってくる。まるでこの奥へは行かせないかの如く。
豌キ豐ウ「こんなん…慣れてるっての…っ!」
めげずに足を進めていくが、その頃にはもう台風並の吹雪が吹き荒れていた。
豌キ豐ウ「くっ…うぅぅ…」
ここまで来れば、もう歩みを止めるしかなかった。謎の物はまだ距離がある。悪い視界の中、なんとかそれを視認しようとした。
豌キ豐ウ「あれは…あれ…は…」
何かが倒れている。それには青い布がひらめいている。それに見覚えがあった。
豌キ豐ウ「あ、あれって…繧?″縺輔s…」
口に出した瞬間、風が一気に勢いを増した。それに俺は耐えきれず吹き飛ばされた。飛ばされた所に今まで立っていた地面はなかった。そのまま谷底へ落ちていく。そして――谷底の地面に打ち付けられた。
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氷河「はっ…!?」
氷河は反射的に手を見た。ぐちゃぐちゃにはなっていない。
氷河「夢…?いやんなわけ…髪は黒いし…」
ハクモ「起きた、母さん?」
困惑していると後ろから声が聞こえた。そこにいたのは神獣姿のハクモだった。
氷河「ハ…ハク…モ…?」
ハクモ「随分と苦しそうだったよ?僕でよかったら聞こうk」
氷河「あぁ、やっぱり自分死んだんだな…」
ハクモ「…え??」
氷河「いやだってそうじゃん…ハクモは俺のせいで死んだし俺は敵前で倒れたんだぞ…?それも青鬼の前でだ…きっと俺はあの千手観音野郎に無様に喰われたんだろうな…」
涙目になりながら早口で言う氷河にハクモが声をかけた。
ハクモ「か、母さん…千手観音鬼は僕が倒したし、母さんは死んでないよ。」
氷河「はぁ…?なに言ってんのさ…ハクモは俺のせいで死んだじゃんか…そんで俺も敵前で倒れてきっと無様に死んだ…だからここにいるんだろ…?俺もハクモも…」
ハクモ「母さん、大丈夫だよ。僕は今ここに帰ってきたし母さんも死んでない。2人共死んでないy」
氷河「俺は大事な誰かを殺してばっかだよ!!ハクモを殺して!!師匠も殺して!!皆…皆俺のせいで死んでく…ハクモも…師匠も…俺のせいで死んだ…俺の…俺のせいで…」
ハクモ「……氷河」
ハクモは一言、静かでよく通る声で呼びかけた。
氷河「…なに…さ…?」
うずくまって叫んでいた氷河の顔はもう涙でぐしゃぐしゃで眼帯も外れていた。
ハクモ「少なくとも僕は君のせいで死んだとは思っていない。勿論君の師匠もだ。一度彼岸へ来た時、君の師匠…君の師匠でもあり、僕の弟子がそう言ってたからね。」
ハクモは淡々と話した。
氷河「え…?ちょっと待ってよ…師匠の師匠…?え…まさか…ハクモ…って…」
ハクモ「そう。僕はスピネル。正確には[元]スピネルだ。」
ハクモは…スピネルは発言を続けた。
ハクモ「1度死んで、彼女と会って昔を思い出したんだ。彼女とは長い事一緒に居てきた。嘘か本当かどうかなんてすぐに分かる。君への怒りは何も感じなかったし、自分は君のせいで死んだ、とは一言も言わなかったよ。」
氷河「え…じゃあ…俺は…師匠も大師匠も殺したって事…」
ハクモ「話聞いてたかな?僕も君の師匠も君が殺したなんて思ってない。君は責任感が強すぎるんだよ。何か悪い事があれば全て自分のせいにする。君の弟子時代…いや、ここに来る前からの悪い癖なんじゃないのかい?」
氷河「…全部俺が悪いんだもん…スピネルさんや師匠が俺のせいじゃないって思ってても俺の判断ミスで死んだんだから…」
ハクモ「そういう所だよ、君。それに、もうスピネルとは呼ばないでくれ。さん付けも敬語もね。今の僕はハクモ。君と卓郎君を親と認識してる神獣さ。」
氷河「…そういや誰がハクモを復活させたのさ?」
ハクモ「闇氷と…僕達の主だよ。」
氷河「俺達の主…?あぁ、そういう…でも、闇氷は大丈夫なのか…?」
ハクモ「かなり気力を持っていかれて休んでると思うよ。」
氷河「え…じゃあ宿の戦力が…!戻らないと…」
ハクモ「馬鹿言うんじゃないよ、おそらくだけど君は今十分に力が発揮出来ないだろう!」
氷河「それでもだよ…!あいつらを死なせるわけには行かねぇんだから」
闇氷「お前はつべこべ言わず休んでろよ。」
洞穴の外へ出ようとした所を闇氷が現れ、デコピンを1発食らわせた。
氷河「った…闇氷…!?」
闇氷「あいにく私はお前ほど無茶はしてねぇから蓄積分少なくて回復がはえーんだよ。分かったら寝てろ。その顔からしてぎゃん泣きしてたろ。ハクモでも抱き枕にして休めこの愚姉が。」
そう言い残し、闇氷は影へ消えていった。
ハクモ「…そう言ってる事だし、大人しく休もうね?」
氷河「…はーい…」
氷河は渋々それを承諾した。
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なんかトンデモ展開発覚した!?氷河って師匠がいたのかー…
ハクモ?スピネル?もその師匠の師匠って…なんか関係性がすごいなこれ…