空想小説「青鬼」 第7話 不寝番

1 2023/11/24 23:17

3:00になり、氷河は一旦皆の様子を見に来た。因みに、上着を脱いでいる理由は、眠気覚ましのためだ。

美香「たくろぉ〜…」

氷河「美香さん…寝言で卓郎って言っちゃってるじゃないですか…」

氷河は呆れながら言った。

たけし「うぅ〜、来るなアァァ〜…」

氷河「たけしさんは何かに追いかけられてるのですかね…」

氷河は少し同情して言った。

卓郎「今回はスマファイを…」

氷河「卓郎さんはゲーム実況ですか。確かゲーム実況投稿してるって言ってたっけな…」

ひろし「zzz…」

氷河「ひろしさんは無言ですか。ま、自分にとっては静かでその方がいいけどな…外は猛吹雪、かぁ…よくここで寒いって泣きながら鍛錬したなぁ…出来る限り皆を起こさないようにしな…」

いとな、と言い切る前に、青い影が見えた。その瞬間、氷河の目が鋭く変わった。

氷河「やっぱり来たか…青鬼…!悪いね、皆を起こす訳にはいかないから、死んでもらうね。」

ちゃんと姿が見えるようにって気づいたが、青鬼は中々の数がいた。

氷河「いや多いな…これは…下手すると皆起きるかもな…まぁ、さっさと終わらせるか…全員氷漬けにしてやるよ!!」

_______________________________________

早朝、突然何かがぶつかった様な甲高い音が響き渡った。その音で全員目が覚めてしまった。

卓郎「な、何だ!?」

卓郎が飛び起き、周りを見渡した。

美香「ガキンって音したわよね?」

美香も周りを見渡した。

たけし「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ」

たけしは恐怖で震えていた。

ひろし「外で何かあったのかもしれません!行ってみましょう…!」

外に出ると、そこでは氷河と青鬼が戦っていた。

氷河「チッ、しぶといこいつ…!」

氷河が低い声で唸った。

ひろし「氷河!!」

ひろしが声を上げると、氷河は皆の方に視線を向けた。

氷河「み、皆さん!?起きたんですか!?」

卓郎「俺達も加勢するぜ!」

卓郎が向かおうとすると、氷河は声で制止した。

氷河「皆さんは来ないで下さい!絶対ですよ!!!」

美香「で、でも氷ちゃん!」

氷河「頼むからそうしてくれ!お前ら夜目は愚か、この猛吹雪じゃなんも見えねぇだろ!!って危ねぇっ!!」

氷河は迫っていた青鬼の拳を片手で側転して紙一重で回避した。が、すぐさま2発目が飛んできて、とっさにナイフを構え、直撃は避けれたが勢いは殺せず、ふっ飛ばされてしまった。左腕に切り裂かれたような痛みが走る。

氷河「つっ…!!自分は…こんな所で…負けられねぇんだよ!!!」

  『俺は何年「あの人」とこの猛吹雪の中ここで鍛錬したと思ってんだ…!』

氷河は目を見開き、青鬼の首筋から胴を袈裟斬りにした。その速さはまるで、この吹雪のような速さだった。

氷河「やれやれ…」

氷河は左腕を隠すように、上着を着た。

卓郎「大丈夫か、氷。」

卓郎が近寄って声を掛けた。氷河は卓郎の方を向いて笑顔で言った。

氷河「はい!大丈夫ですよ!」

しかし、左目は笑っていたものの、隠れた右眼は腕の痛みで引きつっていた。

ひろし「おや、もうすぐ夜明けですか。」

ひろしは東の空を見ながら言った。

たけし「氷河…寝てないけど大丈夫なのか…?」

氷河「大丈夫ですよ!ご心配なく…っ!」

氷河は言葉を詰まらせ、痛さで顔をしかめた。

卓郎「ん…?氷、お前本当に大丈夫か?」

卓郎が氷河を心配すると、氷河は慌てていった。

氷河「だ、大丈夫ですよ!あ、ほら、夜明けですよ!」

氷河は早口に言って、東の空を指さした。ちょうど今、太陽が見えてきた。

美香「わぁ…!綺麗だわ…!」

美香は夜明けの太陽を見ながら言った。

たけし「夜明けなんかあまり見ないからなぁ。」

氷河「自分は散々見ますけどね。5時に起きるとか一時期ザラだったからね。」

たけし「えぇ…」

ひろし「さぁ、そろそろ行きましょう。この場に留まっているとまた青鬼が来るかもしれませんからね。」

氷河「じゃあ、ちょっと待ってて下さい!向こうの荷物入れるので!」

美香「あ、それ私がやっておいたわよ!はいこれ!」

美香はバックを持って来て、氷河に渡した。

氷河「わぁ、ありがとうございます、美香さん!」

たけし「じゃ、じゃあ、行くか…。」

卓郎「よーし、行くぞー!!」

氷河「にしては凄く震えていますが…」

卓郎「氷、それは気のせいだ!」

氷河「えぇ…」

たけし「早く終わらせようぜ…ガタガタガタガタ」

美香「じゃあ、山頂へ向かうわよ!」

ひろし「では、行きましょうか。」

5人は山頂に向かって歩き出した。

_______________________________________

その後なんやかんや2時間後、頂上に辿り着いた。

卓郎「頂上キター!」

氷河「あ、地図出しますね。」

氷河はバックから地図を取り出した。

ひろし「では、行ってみる価値がありそうな所は…」

氷河「えーと、青雅洞窟、蒼双火山は行けそうですね。」

たけし「そ、即答だな、氷河。」

氷河「予めマップを覚えて置いたので…つっ…」

氷河はまた顔をしかめた。

美香「氷ちゃん、大丈夫…?」

美香が氷河の心配をすると、氷河はあわてて笑顔を作って言った。

氷河「ト、当然ですよ、美香さん!」

そういった瞬間、氷河は右の森に気配を感じた。

氷河「…!?何か来ます!!」

そう言うと、ひろし達も右の森に視線を向けた。その森から何か出てきた。

ひろし「こ…これは…」

姿の全貌が見えた。それは、途轍もなく巨大な青色の蜘蛛だった。

たけし「巨大蜘蛛だあああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

氷河「ほっ!」

氷河が何か行動した。

卓郎「ひ、氷?何した?」

卓郎が氷河に聞くと、氷河は足を指しながら言った。

氷河「奴にナイフを投げました。」

そう答えた。よく見ると、ナイフは右脚の1つに刺さっていた。

美香「ならこれで…!」

氷河「いや、身体が大きい奴は氷漬けになるのに時間がかかるから…」

たけし「え゙っ」

美香「それって」

卓郎「つ、つまり…」

氷河「そう、逃・げ・る・ぞ!!!」

そういった瞬間、全員全力疾走で山を下り始めた。なかでも、たけしが抜き出て速かった。

たけし「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

氷河「えちょ、たけしさん速くないですか!?」

走りながら氷河は言った。

ひろし「たけしは50m走6秒台ですからね。」

氷河「6秒!!?オリンピック行けるのでは…?」

そんな事をぼやくと、ひろしは低い声で氷河に言った。

ひろし「氷河、そんな事を言っている余裕はありますか…?」

氷河「はい、ないです!すみません!」

氷河は速攻で肯定した。

氷河「ってあの巨大蜘蛛鬼、脚伸ばしてきやがったあああ!!!」

後ろを見ると、あの巨大蜘蛛鬼が脚をこちらに伸ばして来ていた。

卓郎「コイツ、脚の鉤爪が鋭いぜ!!」

美香「じれったいわね〜…蹴り飛ばしてやりたいわ…」

美香が不服そうに呟くと、氷河は慌てて美香に言った。

氷河「流石の美香さんでもダメですからね!?」

美香「分かってるわよ、それくらい!」

氷河「あ、はい!すみません!」

ひろし「来ますよ!右へ!」

卓郎「OK!」

美香「皆大丈夫ね!」

氷河「はい、大丈夫ですよ!」

しばらくそれを繰り返して走っていると、たけしの声が聞こえた。

たけし「おおおぉぉぉい!」

卓郎「たけし!」

見ると、たけしは最初の大扉で大きく手を振っていた。

たけし「急いでここまでこぉぉぉい!」

卓郎「わかった!皆、急ぐぞ!」

ひろし「わかりました!」

美香「りょーかい!」

氷河「了解です!」

4人はなだれ込むように大扉に向かった。

たけし「み、皆、大丈夫か…?」

4人は全員勢い余って倒れ込んでいた。

卓郎「俺は大丈夫だぜ。」

美香「私も大丈夫よ!」

ひろし「私も問題ありません。」

氷河「自分も大丈夫ですよ…っ!」

氷河は目を瞑り、顔を引き攣らせて言った。

ひろし「表情が大丈夫じゃありませんよ、氷河。」

美香「ちょ、ちょっと氷ちゃん…!!」

美香が声を上げた。

氷河「はい。」

卓郎「はい…じゃねぇよ!お前、左腕から血が…!!」

氷河の左手を見ると、血が滴っていた。

氷河「あっ…」

ひろし「氷河、傷を見せて下さい。」

氷河「え…」

氷河が躊躇すると、ひろしは続けて言った。

ひろし「え、じゃありません。ほら。」

氷河「う、はい…」

氷河は上着を脱いで左腕を見せた。

たけし「え゙、何だよこの傷口…!」

たけしは傷口を見て絶句した。傷口は少し深く、傷周りの皮膚は青痣のような色になっていた。

氷河「あぁ、もしかしたら寒さで凍傷になったのかも…」

卓郎「よく平然と言えるな…」

美香「早く宿に戻って手当しましょ!」

氷河「そこまで痛くないので大丈夫ですよ。ゆっくり行きましょう。」

卓郎「まぁ、さっきのでかなり体力を消費したからな…」

ひろし「ですが、手当ては早いほうがいいでしょう。急ぎ足で帰りましょうか。」

5人は急ぎ足で宿に戻っていった。

_______________________________________

美香「水刃さーん、包帯ありますかー?」

水刃「えぇ、あるわよ。誰か怪我したの?」

美香「はい。実は斯々然々で…」

美香は氷河の腕の事を説明した。

水刃「…なるほどね。そこの箱の中に包帯とか色々あるわ。」

水刃さんは棚の1つを指して教えた。

美香「ありがとうございます!」

美香は手当のセットを持って皆のいる部屋、2階 2ー2へ向かった。

美香「取ってきたわよ。」

ひろし「ありがとうございます、美香。」

氷河「包帯くらい自分で巻きますよ。」

氷河が言うと、ひろしは口を開いた。

ひろし「片手では難しいでしょう。強がらないでください。」

氷河「うぅ…はぁい…」

氷河は不服ながらも、ひろしに包帯を巻いてもらった。その様子を美香と卓郎が見ていた。

美香「ひろし、なんだかんだ面倒見が良いのね。」

卓郎「そうだな。頭いいし、回転も早い。秀才と呼ばれている由縁だな。」

ひろし「できましたよ。」

氷河「あ、ありがとうございます…」

氷河はそっけなくお礼を言った。

ひろし「一人で無茶はしないで下さいね。」

氷河「……………………」

氷河は何も言わない。

ひろし「…どうしましたか?」

氷河「…まぁ、分かりました。善処はしますよ。」

卓郎「あ、もう夜じゃねぇか。」

美香「あら。じゃあ、私と卓郎は2ー3に行くわね。」

ひろし「では、私とたけしは2ー1に。」

氷河「わかりました。2ー2は自分の部屋ですからね。」

たけし「氷河、腕、大丈夫か…?」

たけしが腕の事を心配すると、氷河は笑顔で答えた。

氷河「はい。大丈夫ですよ。」

ひろし「あ、包帯解けかけてるじゃないですか。」

ひろしが包帯を見て言った。

氷河「流石にこれは自分でやりますよ!」

ひろし「…わかりました。」

氷河が言うと、ひろしは引き下がった。

卓郎「じゃ、おやすみー!」

卓郎はそう言い、部屋から出て行った。

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その他2023/11/24 23:17:45 [通報] [非表示] フォローする
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氷河「こんな怪我くらい、なんてことないのにさ…」


>>1
離れたところ

レイン「大丈夫かな...青鬼は過去だからいるのはわかる...雪さん...安らかに...(どっかのトピで暴走した雪さん倒した)」


>>2
??「こんにちは。」

レイン「!?」

??「止めてくれたお礼をいいたくてね。来ちゃった。」

レイン「止めた…って事は…」

雪「そういう事。私は凍針 雪。あの子、霞の…氷河の師にあたるよ。」

レイン『霞…主じゃなくて、氷河の過去の方か…』

    「氷河の…じゃあ、闇氷は?」

雪「あの子は私がいなくなった後に来た子だからね。何も教えれてないから、あの子の師…とは言えないかな。っと、本題に戻らないとね。私の暴走を止めてくれてありがとう。あの子がカートリッジで戦ってるのを見て、私もそれを作ろうと思ったんだ。そしたら、一時的でもまた戦えるって思って。でもどこか不備があったのか、誤作動起こして暴走してあの始末。いつの間にか物作りの腕は氷河の方が上になってたのかもしれないね。」


>>3
レイン「なるほど...偽氷河を止めたおかげで死体に魂が戻った...ということか。よくやってくれたよ。分身。」


>>4
雪「いや、霊体のままだよ。姿ははっきりしてるけど、いわゆる浮遊霊って奴になってるんだ。なにせ、死んだのは30年以上前だからね、死んだ時点で体は塵になって残ってないよ。」


>>5
レイン「なるほど。なら、お前の身体、再生してやるよ。〘セット!マークIX!〙」


>>6
雪「いやちょ、ちょっと待って!」

レイン「うん?」

雪「さ、流石にそれはマズイよ。下手したらタイムパラドックスが起きちゃう。ハクモ君の件はまぁ、なんとかなるけど、流石に私まで復活しちゃたら色々と大変な事になるよ。私は霊体のまま、あの子達を見守っていたいんだよ。」


>>7
レイン「...まあそうなるな。【主の霞の方に言ってIF小説創ってもらおうかな?】ちょっとまって、電話する《おーい霞、青鬼小説のIF書けねぇか?海樹は小説とか得意じゃなくてな。それか海樹が限定トピ作るからそこでIFストーリーを作る、どっちかにしてくれな。》」


>>8
霞『リアルの自分はスマホ持ってないけど…ご都合主義ってホント素敵だね…いい加減連絡機器くらい欲しいよ…』

  「そうだね、じゃあ、こっちで限トピ作るよ。少し時間は掛かるけど…じゃ、取り敢えず作業しとくね〜」


10: ホッパー1 @tukuru2023/11/25 12:47:21 通報 非表示

>>9
レイン《OK》


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