空想小説「青鬼」 第13話 宿の夜
卓郎「もう暗くなっちまったなー…」
氷河「じゃあ、そろそろ帰らないt」
卓郎「いやここに泊まるけど?」
氷河「はい!?え、そうなの!?」
美香「え、そうよ?」
たけし「そうだぜ…?」
ひろし「そうですが?」
氷河「えぇ…」
平然と言う4人に困惑を隠せない氷河だが、
氷河「ま、まぁ、私のとこは泊まってようが大丈夫ですけど…で、でも、ただで居させてもらっているとはいえ、泊まれるんですかね…?」
と持ち直し、卓郎に聞いた。
卓郎「あ〜、そうだな…」
卓郎が考え込んでいると、部屋の戸が開き、水刃さんが入ってきた。
水刃「あら、まだいたの?帰らなくて大丈夫なの?」
卓郎「あぁ、それなんですけど、斯々然々で、いいですか?」
水刃「うーん…まぁ、貴方達の所が大丈夫なら別にいいけど…あまり長くここには居ない方がいいんじゃないかしら。お昼にも言った通り、ここは一度化け物に壊滅させられているのよ。もしまたそんな奴が出てきたりなんかしたら…」
と、水刃さんがためらっていると、卓郎が明るい声で、
卓郎「きっと大丈夫っすよ!一回は壊滅させられたけど今はもう音沙汰なしなんでしょう?だったらきっと大丈夫ですよ!」
氷河「……………」
水刃「だいぶ楽観的ね…わかったわ。それに、今から帰っても外は真っ暗闇で危ないものね。寝るのなら、ふすまに布団があるわ。向こうの洋室にもベットが2つあるから、話し合いとか多数決とかで決めてね。」
氷河「布団かベット、どちらがいいですか?自分はどっちでもいいんで、選ばなかった。あまりでいいですけど…」
氷河が4人に聞くと、たけしが引き気味に、
「お、俺、ベットがいいぜ…」
と呟いた。すると、美香と卓郎が続けて、
卓郎「俺もベットがいいな。」
美香「私も私もっ!」
氷河「あー、被っちゃいましたね…でも、これは必然的に自分は布団になりそうですね。」
ひろし「では、私も布団にしましょうか。」
卓郎「ひろしと氷は確定として、俺らはどうする?」
たけしがふと、美香に視線を向けると、ニッコニコでたけしの事を見ていた。そして結局、美香の圧に負け、
たけし「あ、じゃあ俺、布団にするぜ…」
美香「うん、決まりね!」
卓郎「じゃ皆、おやすみー!」
そう言うや否や2人はベットのある部屋に入っていった。
氷河「行動力のあるお二方だこと…」
氷河が呆れながらそう呟くと、たけしは苦笑いをして、氷河に言った。
たけし「ま、まぁ、2人はそんな感じだから、気にしなくてもいいぜ…」
氷河「あ、はい…」
ひろし「そんな事より、私達も早く寝ましょう。きっと明日は2人に振り回されると思いますし…」
ちょっぴり困惑する氷河にひろしは、少し苦笑いの表情をしながら氷河に早く寝る事を促した。
氷河「そうですね。おやすみです、ひろしさん、たけしさん。」
そう言い、氷河も布団の中に潜っていった。
ひろし「ん…おや、氷河…?」
深夜2時、なにかの気配を感じたひろしは目が覚めた。ひろしは真ん中で寝ていた。たけしは不安げな顔をして寝ていた。そして、氷河が隣に居ないことに気づいた。
氷河はベランダで本来右眼につけていた眼帯を外し、歌っていた。
ひろし『歌っている…歌うのが好きなのでしょうか…?』
そして、歌い終わった後、呟き始めた。
氷河「……この村は一度壊滅させられた、ね…あれからどれくらい経ったと思ってんだ…忌々しい奴め…!!」
ひろし「…氷河?」
呟きの内容はよく聞こえなくて分からなかったが、氷河が殺気立っているのを感じたひろしは放って置いたらマズイと思い、氷河に声をかけた。
氷河「うわああっ!ひ、ひろしさん…!」
案の定氷河は驚いた。こちらを向いた氷河の右眼は閉じていた。
ひろし「何をしているのですか、こんな時間に…」
氷河「すみません、真夜中に起きてしまって全く眠れなかったので…」
そう言いながら、眼帯をつけ直した。
ひろし「ところで、氷河は歌うのが好きなのですか?先程何かを歌っていましたが…」
氷河「き、聞いてたんですか…!?ま、まぁ、はい…好きっちゃ好きですよ?」
氷河は少し照れくさそうに答えた。
ひろし「それと、氷河が眼帯を外すなんて、珍しいですね。」
氷河「付けてたら結構蒸れるんですよ。だから、たまには外したいんですよ。」
ひろし「事情は分かりました。ですが、夏の夜は涼しいのでずっといると夏風邪を引いてしまいます。戻りますよ、氷河。」
氷河「分かりました、ひろしさん。」
ひろしに言われ、氷河はひろしと一緒に部屋へ戻っていった。
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