空想小説「青鬼」 第29話 神獣
闇氷「神獣ってのは、遥か昔から生存していたと言われている生き物の事だ。風を操り、空を舞う姿はまさに神獣と呼ぶにふさわしい美しさと伝えられている。だが、随分と昔に絶滅しちまって以来、一度もその姿を見た者はいないと言われているぜ。」
水刃「じゃあ、その神獣を復活させて殲滅軍は何をしようと…」
闇氷は少し表情を険しくし、話を続けた。
闇氷「…神獣はな、その美しさの他にも恐るべき能力があるんだ。」
たけし「お、恐るべき能力…?」
闇氷「あぁ。お前らはもう知ってるはずだぜ?その子の恐ろしい程の凄まじい成長スピードをな。」
ひろし「まさか…」
闇氷「そのまさかだ。神獣は一日で卵から孵化し、二日で成熟期まで成長し、三日で風を操り空を飛べるようになる。」
美香「確かにハクモちゃんの成長は早かったけれど…それのどこが恐ろしいのよ?」
闇氷「…じゃあ、こう言えば分かるか?神獣はたった三日で完全体に成長する生物兵器にもなり得るんだ。こいつだけならまだいい。だが、殲滅軍が神獣を操る事に成功した場合、数千…いや、数万の神獣が襲ってくる。唯一の救いは、神獣はなかなか個体数が増えねぇって事だが、それも既に神獣の復活方法を手に入れている。殲滅軍側は何の問題もねぇ事だろうよ。」
卓郎「じゃ、じゃあもし彼奴がハクモの洗脳に成功していたら…俺達は…」
闇氷「文字通り、殲滅されてただろうな。」
美香「許せないわね…こんな可愛い子達を利用するなんて…」
たけし「って事はかなりやべぇじゃねぇか…!早く彼奴を見つけねぇと…!!隷属化が成功したらまた来るって言ってたぞ…!!」
卓郎「だが、彼奴の居場所が分かんなかったらどうしようもねぇよ…早く何とかしないといけねぇってのは分かってるが…」
水刃「せめて彼奴の居場所が分かればこっちから乗り込んで行けるのだけれど…」
闇氷「…は?奴らの居場所なら簡単じゃねぇか。」
美香「そうよね…分からnえぇぇぇ!?」
卓郎「闇氷、どういう事だ?」
闇氷「え…だって卵がどこから落ちてきたのかを考えれば分かるだろ?」
たけし「卵?卵は雲の下から落ちてきたけど…え、まさか…」
闇氷「あぁ、そうだ。奴のアジトは天空にあるはずだ!」
美香 卓郎 氷河 水刃「えええええっ!!?」
ひろし「い、言われてみれば、それは盲点でしたね…」
――――――――――――――――――
その頃、永のいる殲滅軍天空研究所にて、永は隷属化の研究をしていた。
永「これをあーしてこーしてこーすると?んー…何で上手くいかないんだろ?」
すると、檻の中の獣が暴れだした。
「グルルルルル…」
永「五月蠅い!」
永はレーザー銃のようなものを取り出し、獣に向かって引き金を引いた。そこから発せられた波動のような物によって、獣が大人しくなった。
永「普通の獣なら楽勝なんだけどなぁ…しょーがないなぁ。やっぱり隷属化の出力を上げるしかないかぁ…多少自我が無くなって制御はしづらくなっちゃうだろうけど…まぁいいよね。なんせ、こーんなに沢山いるんだからねっ♪」
永の目の前には、大量の神獣の卵があった。
――――――――――――――――――
翌日、7人が宿前に集まった。
氷河「よし、準備はOKだね。皆も大丈夫?」
ひろし「えぇ。」
たけし「あ、あぁ…!」
美香「ええ!」
卓郎「あぁ!」
ハクモ「ハク!」
ハクモが光り輝き、姿が変わった。とても大きくなり、風をまとっていた。その姿は可愛くかつ、凛々しい姿になった。
たけし「ほ、ホントに三日で完全体になったな…!」
たけしは目を見張って言った。
美香「ハクモちゃん!絶対にハクモちゃんの仲間を殲滅軍なんかに悪用させたりさせないからね!」
ハクモ「ハク!」
水刃「私と闇氷ちゃんは宿に残るけど…大丈夫?」
美香「もっちろんよ!」
闇氷「やばくなったら無茶せず私を呼べよ?いいな?姉さん?」
氷河「あ、うん…分かった。」
闇氷「言ったからな?無茶したら耳の裏グリグリするからな?」
たけし「そ、それめっちゃ痛ぇ奴じゃねぇか…!」
ひろし「では、お願いできますか?」
ハクモ「ハク!」
氷河「じゃあ…出発だ!!」
ハクモ「ハクー!」
ハクモは5人を背に乗せ、青凪山へ一直線に向かった。
たけし「は、速いっ!高いっ…!ガタガタガタガタ」
たけしは絶叫マシンに乗っているような気分だった。
氷河「ちょ、落ちないで下さいよ?」
美香「当然よ!たけし、怖いのは下を見てるからよ!前だけを見てればいいのよ!」
美香は珍しく的確なアドバイスをくれた。
ひろし「それはそうと、もうすぐ例の雲に近づきますね。」
卓郎「ここからは何があってもいいように警戒していくぞ!」
卓郎が士気を高めた。
氷河「なんせ彼奴のアジトです。どんな罠があるか分かったもんじゃないです…」
氷河は呆れた声で言った。
その頃、永の研究所では、アラームがなっていた。
アラーム『謎の飛行物体接近中!謎の飛行物体接近中!!』
永「んん?」
モニターを見ると、そこにはひろし達やハクモの映像が写っていた。
永「へぇ。どうやってここの事を調べたのか知らないけど、そっちから来てくれるなんて好都合だよ。」
たけし「な、何か飛んで来るぜ!?」
ひろし「あれは…岩ですか!?」
氷河「多分、向こうのセキュリティみたいなやつですよ!」
美香「避けて!ハクモちゃん!」
ハクモは素早く岩を回避した。
卓郎「流石だぜ、ハクモ!」
ハクモ「ハク!」
ひろし「また来ますよ!」
ハクモは5人に当たらないようにしつつも、的確に岩を回避していくが…
たけし「岩の数が段々増えてきたぜ…!?」
ハクモ「ハク…」
ハクモも少し疲れた様子を見せた。
卓郎「ハクモ、大丈夫か?これじゃまるで弾幕じゃねぇか…」
氷河「危ない!!」
いつの間にか、岩が目の前に迫ってきていた。
ハクモ「ハクーーー!」
ハクモが風の力を使った。岩が木っ端微塵に砕け散った。
たけし「す、すげぇ…」
ひろし「岩が、一瞬で粉々に…」
ハクモ「ハク!」
ハクモは研究所の上空で止まった。
美香「やるじゃないハクモちゃん!流石ね!」
ハクモ「ハ、ハク…」
流石のハクモでもこの弾幕には疲れたようだ。
氷河「お疲れ様。ハクモのお陰で彼奴のアジトに着けたね。ありがとうな。」
ハクモ「ハク!」
ハクモは研究所の広場のような所に降り立った。すると、拍手の音が聞こえてきた。そこにいたのは言わずもがな…
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>>1
物陰
白銅「なんだーありゃ。手助けすっかな?」
スタープラチナ「やめとけ」