空想小説「青鬼」 第32話 激怒
永「な、そんな怖い顔したって無駄だよ!ほらゴーレムちゃん!行け!」
ゴーレムは卓河に向かって突撃してきた。しかし、指を鳴らすと、炎の渦が現れ、ゴーレムを跡形もなく灰化させた。
永「は??くっ…クッソー…ホントはこんな所で使いたくなかったけど…しょうがない。来い!」
永が呼ぶと、2体の龍が現れた。1体は翼を持ち、空を飛ぶ龍、もう片方は三つ首の龍だった。
永「聞いて驚け!こいつらが僕の奥の手さ!僕の知識を全て注ぎ込んで作った最高傑作だよ!さぁ、行け!」
2体の龍は卓河に向かって火炎放射をした。
永「アハハ!流石の君でもこの2匹を相手にしたら手も足も出ないよね?ちなみに、この2匹は君達人間の死体を利用して作ったのさ!死体だとしても君に同族を傷つけられるのかい?」
卓河「黙れ」
そう冷たく突き放すと、弓を構えた。
卓河「黄昏ノ弓・バーニング」
矢を打つと、その火力の前に2体ともふっ飛んでいった。
永「な…!!」
3人は卓河の様子を静かに見ていた。
美香「氷ちゃん…卓郎…」
たけし「二人の怒りがこっちまで伝わって来るぜ…」
ひろし「奇しくも、ハクモ君の死が、二人の…卓河の力を完成させたと言う事でしょうか…」
美香「なんだか私には怒りに任せて遠くに言ってしまう気がするわ…」
永は三つ首龍を立たせていた。
永「早く立てよ!!あんな奴にいいようにやられてんな!!行け!!」
卓河「邪魔だ」
そう言い放ち、黄昏ノ弓の真ん中を切り離し、短刀二刀流になった卓河は、こちらに向かってきた三つ首龍を居合斬り。真横に一刀両断した。
永「は…はぁ?訳わかんないよ…!たかが遊びになのに本気になっちゃってさ!つ、付き合ってられないよ!お前みたいな化け物に!!!」
永は空を飛ぶ龍の背に乗った。
永「く〜、もったいないけど、仕方ない。」
永は赤いボタンを押した。すると、建物内から爆発音が聞こえた。
たけし「な、何だ…!?」
たけしは周りをキョロキョロして言った。
永「爆破装置を起動させたのさ。もうすぐここは木っ端微塵になるんだよ!」
美香「なんですって!?」
永「君達に僕の大事な研究所を荒らされたくないからね〜神獣ちゃん達には悪いけど、ここは廃棄させてもらう事にしたよ。今までの研究のバックアップはちゃんと用意してるし、別の場所でまた作ればいいだけだからね。後、一応言っとくけど僕は負けた訳じゃないからね!戦略的撤退だから!じゃーねぇー!」
そう言い、永は龍に乗って飛んでいった。20m離れた時、永は大声で行った。
永「あっ!君達も早く逃げた方がいいよ!まぁ、この上空から逃げれたらの話だけどね!」
永は笑いながらそう言った。きっと脱出する術がないからそこで死ぬとでも思ってるのだろう。
ひろし「マズイですね…ここまで連れてきてくれたハクモ君はもう…」
美香「私の念力でもこの人数と高さじゃ無理があるわ…」
たけし「くそぅ…どうする…?」
『爆発まで残り一分』
卓河「…クリエイト」
卓河がそう言うと、ロープが現れた。
美香「卓郎、氷ちゃん…どうする気なの?」
卓河「お前ら、このロープを体にしっかりと巻き付けておけ。」
卓河は美香の問に答えず、命令だけをした。卓河は何やら矢にロープを縛り付けている。
ひろし「え?わ、わかりました。」
たけし「こ、こんなもんか…?」
卓河は全員がロープを付けれたことを認識すると、弓を永が乗っている龍に向けた。
卓河「…シュート」
打った瞬間、自分は矢に捕まって飛んでいった。
たけし「うわあああぁ!!!」
美香「きゃああ!」
矢は一直線に、龍の元に飛んでいく。
永「ふんふ〜ん♪」
永は呑気に鼻歌を歌っていた。
永「ん?」
後ろに何か感じた永は、振り向いた。そこにいたのは…
卓河「逃がすと思ってんのか?」
永「へ?」
卓河は永を一蹴りし、龍の背中に乗った。
卓河「死ぬ事なんてどうだっていいんだろ?望み通りにしてやるよ。」
そう言い、永を殴打し始めた。
永「ガッ…グッ…ガフッ…ガァッ…!!や、やめ…」
たけし「氷河、卓郎…」
卓河「お前にはハクモが味わった以上の苦しみを与えてやる。簡単に死ねると思うなよ?」
卓河は刃の先を向けて無機質に言った。
永「ハァハァハァ…」
『何か…なにか手は…これで…』
永は小さな玉を取り出し、足元に投げつけた。白い煙があたりを包む。
ひろし「ゴホッ…煙幕!?」
永『…危険だけど、もう飛び降りるしか手がない…』
永が一歩進んだ瞬間だった。
卓河「小賢しい」
指を鳴らすと、煙幕の煙は瞬く間に消え去った。
永「なっ…!!」
卓河「クリエイト」
動揺する永に即座に距離を詰め、永を結界の中に閉じ込めた。指を鳴らすと、結界の中は業火に包まれた。
永「ギャアァァァァァ!!!」
卓河「…ハクモの…いや…今までお前が苦しめてきた生き物達の痛みを知れ。」
永「ギャアァァァァァ!!!」
永の絶叫が響く。
美香「ひ、氷ちゃん、卓郎!も、もういいわ!もう十分よ!いくらコイツが悪い奴だからって、これじゃこいつらと同じになっちゃうわ!」
たけし「氷河、卓郎、俺も美香に賛成だぜ…!こんな奴でも、殺したら奴らと同じに…」
卓河「……………」
卓河は何も言わず、炎の火力を上げていく。
永「ギャアァァァァァ!!!」
ひろし「氷河、卓郎!」
ひろしが制止しようと足を踏み出した。
卓河「お前らは黙ってろ!!」
卓河は3人の元に熱気を飛ばした。
卓河「…いくらコイツを痛めつけようが…ハクモがもう帰って来ねぇのは分かってる…分かってるけど!!どうしてもこいつを許せねぇ…俺達の怒りの炎はこいつを焼き殺すまで消えてくれねぇんだよ!!」
美香「二人共…そんな事ハクモちゃんだって望んでないはずよ!」
卓河「そんなのもう分かんねぇよ…!!」
卓河は一気に終わらせようとした…その時。
たけし「ん…?今何か光った…?」
光った物の正体は、ハクモが消滅する際に残った羽だった。
ひろし「これは…」
美香「ハクモちゃんの…?」
卓河「ハクモ…」
突如、羽がまばゆい光を放った。4人は目を伏せた。
―――――――――
目を開けると、そこは真っ白い空間だった。
氷河「…え?ここどこ?」
卓郎「合体も溶けてるじゃねぇか…!」
ひろし「何なのでしょうか…この空間は…仮想空間…?」
たけし「でも…ここ、何か落ち着くな…!」
美香「ん?あそこにいるのって…もしかして…」
4人は美香の方向に向いた。そこにいたのは…
ハクモ「ハク!」
氷河「あ、あ…」
卓郎「ハクモ…」
ひろし「ハクモ君…!」
5人はハクモの元へ走った。
氷河「ハクモ…ごめんな…絶対守るって約束したのに…俺……」
ハクモ「ハク!」
ハクモは氷河にスリスリした。
卓郎「でも、お前の敵は絶対取るからな!」
卓郎がそう言うと、ハクモは卓郎の元に歩み寄ってきた。
ハクモ「ハクッ!!」
膝に前足をポンッと叩いてそんな事しなくていい、というような声で鳴いた。
卓郎「ハクモ…」
ハクモ「ハク。」
ハクモは続けて、首を振った。
卓郎「でも、それじゃお前が…報われねぇじゃねぇか…!」
ハクモは真ん中に戻り、笑顔で言った。
ハクモ「ハクハク!君達に出会えて僕は幸せだったよ。だから悲しまないで。僕はずっと皆と一緒にいるから。」
氷河「ハクモ…うわあぁぁぁん!!」
卓郎「うぅ…ハクモ…」
美香「グスッ…ハクモちゃん…」
ひろし「ハクモ君…!」
たけし「ハクモォ…!」
―――――――――
卓河「ハクモ…」
卓河は炎を消し、結界を解いた。永はその場に倒れ伏した。
ひろし「氷河…」
美香「卓郎…」
4人は身を寄せ合い泣いた。後ろでは、永が意識を取り戻していた。
永「ガハッ…!!ハァハァハァ…」
『何がなんだか分かんないけど、とにかく助かった。今なら…』
永はナイフを忍ばせ、そのまま倒れたフリをした。
たけし「さぁ、もう帰ろうぜ…!」
美香「彼奴はどうするの?」
美香は永を横目に見て言った。
ひろし「そうですね…とりあえず闇氷の所に連れて行って、殲滅軍の情報を聞き出せるだけ聞き出してみましょうか。」
美香「そうね。…卓河も…それでいい?」
卓河は目を瞑ったまま、何も言わずに頷いた。
ひろし「では、このロープを使わせてもらいますね。」
ひろしは卓河が出したロープを手に取り言った。
美香「彼奴を縛るの?」
ひろし「えぇ。先程の卓河の攻撃で暫くは動けないと思いますが、念の為に。」
たけし「じゃあ、頼むぜ、ひろし…!」
ひろしはロープを束ね、永の元へ歩いていった。
美香「ほら!いつまでも落ち込んでてもしょうがないでしょ!ハクモちゃんの分まで私達がちゃんとしないと!」
卓河「あぁ…そうだな…ありがとう、美香。」
たけし「おうっ…!」
ひろし「うああっ!」
突然、ひろしの声が響いた。
卓河「ひろしっ…!?」
声の方を見ると、ひろしは顔にさっきの炎の影響で火傷傷がある永に捕まり、首筋にナイフを突きつけられていた。
永「ハァ…ハァ…ハァ…甘いね、残念だけど形勢逆転だよ。」
美香「お前…!!いい加減に…!!」
美香が一歩足を進めた時だった。
永「おっと!気を付けなよ?このナイフは僕の特別製でね。僕にしか解毒できない毒がたっぷりと塗ってあるのさ。切り傷一つで即お陀仏ってわけさ。君達がこれ以上僕に近づいたら雪矢の弓使い君は死んじゃうよ?」
たけし「ひ、卑怯な…!」
永「感謝するよ。君達が甘かったお陰で僕は助けられたんだ。さぁ、もう話はおしまいだよ!雪矢の弓使い君を助けたかったら、君達3人共今すぐここから飛び降りて。」
卓河「チッ、こいつ…!!」
卓河はまた少し怒りを滾らせた。
ひろし「たけし、美香、卓河!こうなったのは私の責任です!ですから私の事は気にせず」
ひろしの言葉を永は遮る。
永「うるさい!君は黙っててよ!今はこの3人に聞いてるんだから!さぁ、どうする?僕を捕まえるために雪矢の弓使い君を見捨てるかい?」
永は首を傾げてにっこり笑って言った。
美香「卓河、彼奴の言う通りこうなったのは私が甘かったせいだわ。だから、私があいつのナイフをどうにかするわ。その隙にひろしの事をお願い。」
卓河「美香…いや、こうなったのは俺達皆の責任だ。だから一人で背負い込むな。大丈夫だ。きっとどうにか出来る。」
卓河はそう言ったが、その表情のどこかに後ろめたさを感じた。
永「何ごちゃごちゃ言ってんの?もういいよ。最初からこうすれば良かったんだ。」
永はナイフを降ろした瞬間、ひろしを突き落としたのだ。
ひろし「うわあああぁっ!!」
ひろしは声を上げて落ちていく。
たけし「ひ、ひろし!!あ、彼奴ひろしを突き落としやがった…!!」
永「あははは!!ほら!追いかけなよ!早くしないと雪矢の弓使い君死んじゃうよ?」
美香「チッ…たけし!行くわよ!!」
その瞬間、美香は中々の行動をした。
たけし「うえええぇぇ!!?」
美香はたけしの腕を掴み、自ら飛び降りたのだ。
美香「卓河!ひろしの事は私とたけしに任せて!!そいつの事は2人に任せるわ!!」
美香はそう言い残し、たけしと共にひろしの元へ向かった。
卓河「美香、たけし!!」
卓河は想定外の行動に驚き後を追おうとした時、美香の言葉を聞いた卓河は全てを理解した。
永「ほら君も行かないと!」
卓河「………」
卓河は龍の端から一歩踏み下がった。
永「ん?いいの?仲間を見捨てて。」
卓河「…俺は、俺の仲間を信じている。ふt…少なくとも、美香は任せろって言ってくれた。そして任せてくれた。だから、俺は…」
このトピックは、名前 @IDを設定してる人のみコメントできます → 設定する(かんたんです)
ブシニャン「鰹節!鰹節はどこでござる!」
スタープラチナ「落ち着け!今用意するから!ってどこ行くの~!?」
>>3
スタープラチナ「フルーツや鰹節を一定時間斬らない状態だと暴走するからね。ほいこれ鰹節。」