【小説】折り紙

4 2025/01/18 19:41

数年前に書いた小説。発掘。拙い。自己満投稿。

今の私が小説書いたらもっと酷いと思う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

クラスの馬鹿が車に轢かれて入院した。

詳細は自業自得で滑稽なので省略する。

 

問題はそのあとだ。学級委員がみんなで千羽鶴を折ろうと言いだしたのだ。

クラスは25人。つまり1人40羽折らねばならんのだ。

先生も乗り気で、折り紙をすぐさま用意した。こういう時だけ行動が早いのを見ると、泣きながら転校した子を思い出す。あのときは後手後手だったのにな。

 

昼休み、自習室で黙々と鶴を折る。

私は器用な方ではない。見栄えの良い鶴は折れないが、1000羽もいるのだ。問題ないだろう。

「君、折り紙へったくそだね」

気配がなかった。驚いたが平然を装うため、ゆっくりと顔を上げ、声の主を見た。

見たことのない男子生徒だ。

「あまり、器用な方ではないんです」

にこやかに、ゆっくり言った。

「折るのは全部鶴?僕にも折らせてよ、1枚貰うね」

私の回答も待たずに、彼はピンクの折り紙を1枚取り、黙々と折り始めた。

手伝いなのか冷やかしなのかわからないが、鶴が40羽用意できればそれでいいのだ。

私も作業を再開した。

 

自習室には私と彼以外誰もいない。昼休みに来る人はほぼいない。ここは放課後に使われることがほとんどだ。

 

ガタガタと窓の音が響く。

 

「できた!!!!」

人の近くで大声を出すような人にはなりたくないなと思いつつ、彼に目をやる。

彼の手には綺麗に折られた紙の花があった。

「できれば、鶴を折って欲しかったのですが。」

ゆっくりと言う。怒りは露わにするべきではない。相手にぶつけ、感情を発散するのは見苦しいことだ。自分の感情は自分で完結させなくては。

「まぁまぁ、見ててよ」

ニヤニヤと笑みを浮かべながら紙の花を振る。

「じゃーん!」

彼は満面の笑みで私の前に紙の花だったものを突き出す。

本物の花になっていた。匂いも、する。

「…………」

「君、反応薄くない?」

「……手品、ですか?」

「違うよ、紙の花を本物に変えたんだ。戻したってのが正しいかな?」

訳のわからないことを言いだした。

先生に新しい折り紙を貰わなくては、などと冷静に思考する自分もいるが、目の前の状況に驚きを隠せず、言葉が詰まってしまった。

 

「君、折り紙をただの紙だと思っているだろう?もっと心を込めて折らないと」

なぜ目の前の彼は私に説教を垂れているのだろうか。手品ごときで踏ん反り返るとは傲慢な奴だ。

 

とはいえ、なんと返答すればよいかと思案していると、授業の予鈴が鳴った。

「そうですね、もう少し丁寧に折ることにします。予鈴が鳴ったのでこの辺で」

席を立ち、折り紙をまとめて部屋から出ようとしたその時、

「この花、いる?あげるよー」

元はと言えば、折り紙は私の物だ。どの口が言っているのだろうか。

「気持ちだけ貰いますね。ありがとうございます」

少し微笑んで軽くお辞儀をする。

お前もさっさと教室に戻れという言葉は飲み込んだ。

「では」

  

ドアを開けると、強い風が吹き込んできた。朝、テレビで言ってた春一番だろうかと考えながら、折った鶴達が飛んでいかないようにした。

 

あっ。と後ろから声が聞こえた。

 

足を止め、振り返ると、くしゃくしゃになった大きな白い紙と、ピンクの折り紙が落ちていた。

男子生徒の姿はそこになかった。

 

嫌な沈黙が流れる。

 

「……………………」

「…………やっぱりただの紙じゃないか。」

ぼそりと呟いた。

先生に新しい折り紙を貰おう。

私は自習室を後にした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

多分主人公は女。

読んだ読んでないは置いといて、見てくれてありがとう!

いいねを贈ろう
いいね
4

このトピックは、名前 @IDを設定して、メンバー申請しないとコメントできません

名前@IDを設定する
画像・吹き出し

タグ: 小説

トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する
暮らし2025/01/18 19:41:07 [通報] [非表示] フォローする
TTツイートしよう!
TTツイートする

拡散用



まだコメントがありません。最初のコメントを書いてみませんか?
画像・吹き出し
タグ: 小説

トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する