【小説】春と孤独を救う招き猫~エピソード4~

8 2022/12/29 13:43

~エピソード3~はこちら!→https://tohyotalk.com/question/449725

「大丈夫?」

「う、うん。」

「あれっ、何でここにいるんだろう。」

「真由ちゃんはずっと誰かを待っているんじゃない?」

ああ。そうだ。私は小さい頃からここで座って両親を待っていたんだ。

この年にもなって、勝手に一人だと思い込んで。

でも、こうして私のことを助けようとしてくれる人がいるじゃないか。

なんでこんなことをごちゃごちゃ考えていたのだろう。

「じゃあ、また明日学校で。」

「あっ、ありがとう。」

笹谷さんが何をしたのかは結局分からなかったけれど、自然と言葉が出た。

笹谷さんが手を振っている。私も手を振った。

さあ。帰ろう。今日もいつも通りご飯を作って一人で食べる。

でも、いつもよりおいしい気がした。

「ガチャ」という音がした。あれっ。

「ただいまー」

お母さんだ。

「ごめんね。いつも一人にして。さみしくなかった?」

「ううん、全然。」

ずっと心の奥にあった霧が晴れたような気がする。

もう寝よう。明日も早い。

「おやすみ。」

ジリジリジリ。はあ、眠い。もう朝か。

ご飯食べよう。朝ご飯は久しぶりにお母さんが作ってくれていた。

あったかくておいしかった。支度をして早く学校に行こう。

私は勢いよく扉を開けた。

「行ってきます!」

桑野 真由 編 [完]

最後までお読みいただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします!

~エピソード5~はこちら!→https://tohyotalk.com/question/450229

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