【小説】春と孤独を救う招き猫~エピソード4~
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「大丈夫?」
「う、うん。」
「あれっ、何でここにいるんだろう。」
「真由ちゃんはずっと誰かを待っているんじゃない?」
ああ。そうだ。私は小さい頃からここで座って両親を待っていたんだ。
この年にもなって、勝手に一人だと思い込んで。
でも、こうして私のことを助けようとしてくれる人がいるじゃないか。
なんでこんなことをごちゃごちゃ考えていたのだろう。
「じゃあ、また明日学校で。」
「あっ、ありがとう。」
笹谷さんが何をしたのかは結局分からなかったけれど、自然と言葉が出た。
笹谷さんが手を振っている。私も手を振った。
さあ。帰ろう。今日もいつも通りご飯を作って一人で食べる。
でも、いつもよりおいしい気がした。
「ガチャ」という音がした。あれっ。
「ただいまー」
お母さんだ。
「ごめんね。いつも一人にして。さみしくなかった?」
「ううん、全然。」
ずっと心の奥にあった霧が晴れたような気がする。
もう寝よう。明日も早い。
「おやすみ。」
ジリジリジリ。はあ、眠い。もう朝か。
ご飯食べよう。朝ご飯は久しぶりにお母さんが作ってくれていた。
あったかくておいしかった。支度をして早く学校に行こう。
私は勢いよく扉を開けた。
「行ってきます!」
桑野 真由 編 [完]
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします!
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