日の出とともに{#2}

2 2025/01/05 03:32

茜がいじめられ始めた。

わかっていた、わかっているはずだった。

しかし予想の範疇を超えているのに気が付いたのは2か月後、クリスマスの日だ。

茜の様子がおかしいことには気づいていた、気にかけてもいた、だがあいつらは

“本当に酷い事”を口止めしてやっていた。俺が会いに行ったころには遅かった。

首を吊ったという、しかし未遂で終わったため、彼女は県外の精神病院に入ることになったという。俺は面会拒否をされた、一応まだ誰とも会わないほうがいいらしい。

あいつらは俺の知らないところで茜を苦しめ続けていた。追い詰め続けていた。

もちろんそれに気づけなかった俺が悪い、しかし俺はもうとっくに限界を超えていた。

何をしようか。何をもっていこうか。どうしてやろうか。あぁしてやろう。

俺の中で地獄絵図が出来上がる。しかし現実とは厄介なもので実現することはできない。

面会許可が出たのは2日後だった。異常に回復が早かったという、俺は嬉しかった。

茜に謝る機会ができた。喋れる機会ができた。俺は退職届も出さずに病院に向かった。

「啓二くん!久しぶり‼」

元気だった、凄く元気だった。生きている、茜は生きている。それだけで嬉しかった。

茜がいない人生なんて考えられない。

「先生はね、一応あと2日はここにいないといけないんだって!」

茜はいつも通りな気がした。

「よかった、茜が無事で、本当に良かった」

茜は言った

「うん、ごめんね?」

何故だろう、儚かった。今にもいなくなりそうだった。でも、茜はここにいる、それだけでよかった。

それから大晦日の前日まで病院に通って茜とずっと話続けた。

大晦日は準備があるから、と会えないことになっていた。

これが間違いだった。彼女から目を離してはいけなかった。

茜に電話をした、楽しみだった、待ちきれなかった。しかし茜は電話に出なかった。

嫌な予感がした。茜は電話には必ず出てくれるはず。他の理由を考えるよりも茜の家へ向かうほうが先に動いていた。

茜は首を吊っていた

俺にはもう対処できない状態だった。茜は死んだ。年を越さずに死んでいった。

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