空想小説「青鬼」 第44話 約束事
闇氷「姉さん帰ってくるってよー。」
宿に戻ってきた闇氷はひろし達に向けて言った。
美香「本当!?」
たけし「でも今は夜中で真っ暗だぜ…?」
闇氷「あいつらはそんなのなんともねぇよ。もうすぐ帰って来るだろ。」
そう言った直後、玄関の戸が開く音がした。
闇氷「お、噂をすれば。」
ハクモ「ただいまー!」
居間への戸が開くとすぐさま入って来たのはハクモだった。
美香「あ、ハクモちゃーん!」
ハクモ「美香お姉ちゃんだー!」
たけし「や、やっぱり差がすごいな…」
ひろし「…おや…ハクモ君、氷河はどこにいるのですか?」
ハクモ「ん?ママなら…」
ハクモは玄関へ行ったかと思うと、声が聞こえてきた。
ハクモ「ほらママ!髪色は道中で戻ったでしょ!うじうじしてないで早く行くのー!」
氷河「わ、分かった分かった…分かったから…」
ハクモに押され、じりじりと氷河が現れた。
氷河「あぅ…あ…え、えっと…た…ただい…」
美香「氷ちゃぁぁぁぁぁん!!!」
氷河「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
しどろもどろに言葉を発する氷河に向かって美香は思いっきり抱きついた。
美香「もぉぉぉぉぉ勝手にどっか行かないでよぉぉぉ!!どれだけ心配したと思ってるの氷ちゃぁぁぁぁぁん!!」
顔をぐりぐりしながらわーわー言う美香を前に、氷河は驚きと困惑で暫く黙ってたが、表面上だけ治した傷が痛むので口を開いた。
氷河「…あのー美香さん重…じゃなくて姿勢が辛いから退けてもらってもいいかな…」
美香「いーや!もう逃さないんだからぁぁぁ!!」
氷河「いやメンヘラかよアンタ…わーった、無闇に単独行動をするのはある程度は自重するよ。ただその代わり、俺からも約束してほしい事がある。」
美香「…?何よ?」
氷河「聞きたかったら降りて。」
美香「…逃げない?」
氷河「この状態でどうやって逃げろと?」
美香「まぁ…それもそうね!それで、約束してほしい事ってなんなの?」
氷河「あぁ…美香さん達は自分に無闇に単独行動していなくなってほしくないんだよね?」
美香「ま、まぁ…そうだけど…」
氷河「それなら、だ。お前らも自分達の所から居なくなるな。死ぬな。これだけは約束してくれ。」
4人は驚いた顔を見せると、卓郎は氷河の肩を叩き、氷河の隣に座った。
卓郎「なーにあったりまえな事言ってんだ氷!そう簡単にくたばる俺達じゃねぇっての!」
ひろし「えぇ。離れる理由もありませんしね。」
美香「私達今までボロボロにやられて完敗になった事なんてなかったでしょ!私達が揃えば無敵なのよ!」
たけし「というか、俺らが下手に離れたら大変だからなっ…!」
闇氷「…結局の所、我が身守る為に砂糖に群がる蟻の如く寄り集まっとけ、って事だな。」
卓郎「いやどんな例え方だよ…」
氷河「そんなの今更今更ー。」
たけし「軽くあしらうなぁ…」
水刃「今日は氷河ちゃんの休養も兼ねて、明日は探索せずに宿で休むのもいいんじゃない?」
美香「そうね!そうしましょ!たまには楽しいおしゃべりしたいもの!」
卓郎「氷もそれでいいな?」
氷河「……分かったよ…」
ひろし「不服そうに言いますが元はと言えば貴方が巻いた種なんですからね?」
氷河「う…分かったってひろしさん分かったからそれ以上言わないでさ…」
闇氷「ま、気が滅入る話はこれくらいにしてさっさと寝たらどうだ?もうそろそろ誰かさんの電池が切れそうだしさ。」
美香「え??」
氷河「………」
美香が横を見ると氷河が目を細めてうつらうつらしていた。
卓郎「あ、氷もう眠いか?」
氷河「え、いや、別に……」
ハクモ「…母さん??」
ハクモが少し圧をかけると呆れたような声ですんなり言った。
氷河「う…あぁそうだよ眠いよ悪いか…」
たけし「まぁそりゃああんなに戦ったりしたらなぁ…」
卓郎「よーし…じゃあ…こうだ!」
卓郎はさっと氷河に近づいたと思うと、体を抱き上げ、お姫様抱っこをした。
氷河「わ、わ、わ!!?な、何!?何!!?」
卓郎「寝ぼけて階段から落ちたら復帰が長くなっちまうぞ?氷の事だから明日中に治そうとすると思うが階段から落ちたら下手すりゃ骨が折れたりするからな。」
氷河「だからって何故こうなる…!!?」
卓郎「手っ取り早かったから?じゃ、俺らは一足先に部屋に上がってるぜ〜」
そう言うと氷河を抱えたまま足早に2階へ上がっていった。
美香「…氷ちゃん…いいなぁ…卓郎に抱きかかえられて…私だってされたいのにいぃー!!」
闇氷「黙れ美香リア充予備軍みてぇな発言すんな内側から爆ぜて失せろ」
美香「そこまで言う?」(´・ω・`)
闇氷「じゃあそういうリア充みてぇなのを言葉とかを言ったり見せつけんな。見聞きしてたら腹立つんだよ。」
たけし「さっきのはどうなるんだよ…」
闇氷「あれは姉さんから行ってねぇし何より姉さんも恋愛系は好まないからまだ大丈夫だ。姉妹揃って恋愛にいい思いは無いからな。異性恐怖症とかではないが。後小さい子供とかも苦手だ。何より扱いがムズい…」
美香「あーそれちょっと分かるかも…」
闇氷「ま、この話は終わりだ。さっさと寝るぞ。」
たけし「まぁー…そうだな、寝るか。」
ひろし「では、また明日。」
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