【東方二次創作小説】東方蓬永記録 第一話 大異変と巫女
紅霧異変から八十年
幻想郷はかつてのように美しさを輝かせていた。
どの場所も負けぬくらいには美しく、里は人々が歩き交わし、妖怪の山は紅葉が彩られている。
そんな幻想郷も、いつか終焉の日が来るのだろうか。
いずれ死ぬ運命にある人妖魔は、そんなことを深く考えずにただのびのびと生きている。
ー…紅霧異変から八十年となれば、あの伝説の巫女、博麗霊夢も、かなり老いた頃であろう。だが、そうではなかった。その八十年の間に、その常識を覆す異変が起きたのだ。
ー…その名も 蓬莱異変 という。
蓬莱異変とは、藤原妹紅によって起こされた異変である。
その異変は、幻想郷中を謎の銀色の粉が降り注ぎ、その粉が体内に入ってしまった者が不死身となってしまった、という異変で、数日後には人妖魔関係なくほぼすべての幻想郷の民が不死身となった。
勿論、霊夢もその異変の影響を受けたのだ。霊夢も立派な大人の姿から、たちまち16才ほどの少女の姿に若返り、不死身となった。
ーー幻想郷、博麗神社境内にてーー
?「…やぁ霊夢。久しぶりだな」
聞き覚えのある、やんちゃな声が、霊夢に話しかけた。
霊夢「あぁ、魔理沙じゃないの。久しぶりね。十年ぶりくらいかしら……、で、あんたが私に何の用?」
声の正体は魔理沙だった。
魔理沙「いや、少し近くを通ったからさ。お前が今何をしてるか気になって。…にしてもここは変わんないなー。あの頃の景色まんまだ。」
霊夢「…。ほんとは別の目的で来てるんでしょ?あんたも大概分かりやすいわね。」
魔理沙「…ばれたか!流石は霊夢。鋭いな!」
霊夢「…何の用なのよ。早く言いなさい。」
魔理沙「いや、不死身の事、お前はまだ気にしてるかなって。辛く思ってないかなって。」
霊夢「なんだ、そんな事?別に気にしちゃいないわよ。むしろ、私がこのまま永久にこの結界を守れるなんて、あんたたちからしても、安心するでしょ?」
魔理沙「…そうか。ならよかったが。それより相談してもいいか…?」
霊夢「いいわよ。別に。」
魔理沙「あのさ、あの異変が起きてから、幻想郷中の奴ら皆、暗くなったよな。アリスも、パチュリーも、幽香も、紅魔館の連中もさ…」
霊夢「そんなの気のせいでしょ。別に周りなんて気にしなくても…」
魔理沙「でも!!!!」
大きな声が境内に轟く。
霊夢「わっ…ビックリしたぁ…大きい声は出さないでよ」
魔理沙「すまん…が、それより、不死身になった連中を元の体に戻す薬を今、発明しようとしているんだ。そこで、お前の協力が欲しい。」
霊夢「…なんで?」
魔理沙「お前の御札の霊気があれば、なんとか薬の開発が進むかもしれないんだ。だから…」
霊夢「協力、してほしいのね?」
魔理沙「ダメか…?」
霊夢「…いいわよ協力してあげる。でも条件があるわ。その1。その薬が完成したらまず、私に服用させること。その2。私の御札を悪用しないこと。わかった?」
魔理沙「OK、じゃあ頼むぞ!霊夢!」
霊夢「えぇ。だけど先にしておきたいことがある。紅魔館の連中の様子を伺いに行きたい。」
魔理沙「…なんでだ?」
霊夢「その前に地霊殿や永遠亭にも寄ってくわ。幻想郷の民の様子が知りたいから。」
魔理沙「わかったぜ。じゃ、店で待ってる。(霧雨魔法店)」
霊夢「えぇ。わかったわ。待っててちょうだい。」
箒にまたがり、魔理沙は飛び立っていった。
霊夢「…はぁ。なにが薬の開発よ。そんなことにこの私が協力するわけないでしょ。 …はぁ。 」
霊夢
「幻想郷の皆は絶対に、永遠に不死身のままでいさせるんだから…!」
終