渡るもの藤原妹紅 第七話:ファーフェイドインタープリティション その1
とある少女がいたらしい。とある東洋の国から国外調査という名目で逃げたとある貴族の少女が。その少女はとある西洋の国に逃げ込み、身を潜め、とにかく逃げた。
「名前が欲しいの?」
人間ではない何かが、小汚く暗い路地にうずくまった少女を、夜に目を光らせながら、いまだ見つめて人間の言葉を発している。
「・・・・・ぅん」
何度か聞いたそのか細いその声は、夜のその都市では、誰にも聞こえない。
「乗ってみるのもまた一興ね。
いいわ。あなたはこれから十六夜咲夜と名乗りなさい」
それから5年間誰もその少女を見た"人間"はいなかった。その少女の本当の名前は当の本人にもすでに忘れ去られてしまっているらしい。
藤原妹紅は只今絶賛、奮闘中である。咲夜と仲良くなり、玄関で長く話すのも億劫というわけではないが、疲れる為、途中で家に入れた。話が一区切りついたところで、妹紅が茶でも出そうかと思い、一縷の望みにかけ、キッチンを探してみると「 (.'v'.)-od≡l What starts with T, finishes with T, and has T in it? 」とタグのつけられた缶があった為、その缶と隣にあったティーポット(teapot)に手を取り、茶を準備する。しかし紅茶を淹れることが全く無かった妹紅は大変困っていた。
「なぁ、咲夜、こんなことを聞くのも変なんだが、紅茶ってどうやって淹れるんだ?」
キッチンとほぼ併設されている─おそらく少しでも部屋の面積を少なくする為─ダイニングでレースのかかった丸テーブルと共にあったダイニングチェアに座っている咲夜に助けを求める。
「そうね、端的に言えば、カップとポットにお湯を注いで温め、ポットに茶葉を杯数分、スプーンで入れ、ポットに沸騰したてのお湯を一杯大体150ml入れるの。そして2分30秒くらい蒸らしたら、茶漉しで濾して別のポットに移して、カップのお湯を捨てて茶を入れれば及第点ってとこかしらね。」
「うへぇ。とりあえずやってみるわ」
「ああ、鉄製のものは使わないでよ、あと水は汲みたてで」
「了解!」
とりあえず井戸に水を汲みに行って、戻ってきた。すでに木を焚べてある炉の前に妹紅は火をつけようとする
「あぁ、そういえば炎が出せなくなってたんだ。なんで妖術使えなくなったんだろ」
「・・・ん?今、妹紅。あなた何て?」
「あ゛っ」
あまりに、幻想郷に慣れてしまっていたが妖術や魔術や魔法使いは基本的に良くみられることはあまり無い。例としてあげるならば疫病をそういう神や悪魔のせいにしたり魔女狩りを行ったり
そんなことが妹紅の頭に想起される。
「まぁ、いいわ。社会はそういう風潮だけど私はそこまで染まってないし」
「良かった〜」
「それよりも、あなたが"使えなくなった"って言ったのが問題よ」
「あ、あ〜。そ、それはダナ──────────
「まさか、魔法を知ってて使えたのがよりによって隣人だとは」
「なんか、日本からこっちに来たら使えなくなってな」
とりあえず咲夜には私が日本で妖術を使えたことを話し、死ねないことは再生魔法だけ使えるというふうに誤魔化し、幻想郷のこともうまい具合に避けれた。
「・・・逆に好都合かもね」
「へ?」
「ついてきなさい。私の部屋に案内してあげる」
「はぁ?」
妹紅は、修学旅行の時、先生に見つからないように隣の班の部屋に行けるか奮闘する生徒のような気持ちで、咲夜の部屋に入っていった。
ドアがガチャリと音をたて、鍵が閉められる。その咲夜の部屋は、妹紅のミニマリストで簡素な部屋とは、厭世なところで似て、他は結構非なるし、言い方によっては乾いた独房で、また別の言い方をすれば、上流貴族のような、でも、どこか日本らしい。東洋ベースの西洋の部屋。そんな印象だった。そんな感想を述べながら、咲夜は妹紅を、部屋の真ん中左にある、椅子が2脚あるテーブルへ座らせ、自分も座る。
「本題に入りましょう」
「私のこと?」
「あ〜色々聞きたいけどまた後で」
妹紅は、咲夜の部屋を見渡しながら引っ越すくせに全く片付けが終わっていないことに気になりながら、咲夜の話を聞く。
「妹紅、魔女って聞いたことある?」
妹紅は某、普通な白黒、図書館な紫色、アーバンな七色などを思い浮かべながら返事をする。
「私の記憶では巫女と妖怪の間みたいなもん?」
「大方そうね。で、私は魔法を学びに行く体で魔法学院と思ってるの」
妹紅は、魔法学院について疑問を抱いてもキリがないと思いそれを頭の片隅に置いておく。
「なかなかに、面白いことを言うな、何で行くんだ?」
「魔法って面白そうって思わない?」
「あぁ、面白いし楽しいだろうな。てか、捨食は?」
「しない。あくまでそういう体だから。あと私は死ねる人間でいたいの」
「あぁ、それで良い」
「あなたって、達観してるのか楽観なのか悲観なのかよくわからないわね」
話がひと段落ついたところで妹紅は、そういえば自分もついて行くと発言したことを思い出して
「...元々は何の話だっけ。あぁ魔法の話か」
魔法、そう何度も聞いて、改めて口に出してみて妹紅の中に、疑問が浮かんだ。あれ?そういえば私、妖術使えなくなってたけど、魔法ってどうなんだろう?妖術と魔法に違いはあるのか?てかなんで使えないんだ?と。なので、
「なぁ、魔法って今、咲夜も使えるのか?」
「一応、私らよく使うわ。でも、あなたが妖術が使えなくなったのは何故だかわからないけど」
「使うんだ、もう魔法使いじゃん」
「捨食しないから」
「そうだ人間、人間。で、どうやるんだ?」
「確か、虚軸時間方向+42に合わせた本棚の上から7つ目の棚の左から4つ目だったような気がする」
咲夜が、その本と、キッチンからいつのまにか淹れてあったローズヒップティー2人分を魔法かなんかで浮かして取ってきた。
「魔法ってすごいな、ってかさっきなんて言った虚軸時間?!」
「そこらへんで売ってたマジックアイテム。知識欲が高い魔法使いにとって必需品なのよ、とにかく本を入れるものは。これは安いのだから、持ち運びができないし、5の投影の投影もできない」
「なぁ、それって質量はどうなるんだ」
「それは身体強化でしょ。もちろん」
やはり質量の無視は難しいのかと、妹紅は思いながら、脳筋であることを、滑稽な問題を、面白く思った
「そんなことより、あなたも私と一緒に来てもらうことにさっき決めた」
そういえば何故、呼ばれたのかも全く聞いていなかったことを妹紅は思い出し、返答を思案する。
(ここで、断るのも咲夜には失礼な気がするが、いきなり学校ってのもなぁ・・・
てか、難題のせいでこっちにいきなりきた初日だったわ)
「・・・わかった。楽しそうだからな!」
「ふっ。じゃぁ」
咲夜がさっき取ってきた本を机に叩きつける
「基礎の魔法かつ、学院の入学試験で必要な知識が詰まってる『紫チャート 魔導書 φ』これを理解して実践できるようになってもらうわ。あぁ、筆者が神道とか言霊に興味があったのか日本語訳されてるから大丈夫」
「色々情報過多だし、φ(ファイ)が小文字なのが不穏だが、ちょっと待て、α(アルファ)からυ(ウプシロン)、χ(カイ)とψ(プサイ)とω(オメガ)は?」
なぜ紫色のチャートで咲夜はその本を持っているのか、どこで仕入れたのか、魔法学院にはどのような入試があってツッコミどころが満載だが、今はギリシャ文字の中途半端なところから始まっていることに対しての疑問以外を頭の片隅にそろそろゴミ屋敷になるが置いておくことに、キリがなくなるだろうからそう決めた。こっちにきてから疑問が尽きない。
「αからυは分野ごとで分かれてて、基礎と応用が半分づつ、χはそれぞれの応用の応用、ψはχの応用、ωはもう理解不能。φは黄金比にかけてか、αからυの内容がまとめられてる」
「黄金比って、長方形から、正方形を切り出したとき、余った形が元の長方形と同じになる比率だもんな、なるほど著者は数学も好きとみた」
「ちなみにギリシャ文字なのは著者の好みらしいわよ、魔法学院に溶け込むために、噂を調査してる時に聞いた」
「人間くさいな魔法使いは」
「魔法使いは人間から捨食してなる者も多いし、魔法を除いたら大抵のことは似通ってるからね」
「色々勉強しなきゃなぁ、私」
魔法界隈の暗黙の了解とか、マナーとか、歴史とか、1番は魔法だろうが、魔導書を作るための文章力から現代文、古文、論理的思考から数学、幻惑魔法関係の音楽、美術などもあるだろあから挙げ出したら枚挙にいとまがないほど、密接に多方面に関係していると、素人目にして推測できる。ちょいと多いなと妹紅は少し悩んだ。
「勉強するのは嫌?」
「自分が知らない世界が開けるし、一度見たものの解釈も変えられる。良いことだ。ただ面倒、それだけが唯一のただ一つの欠点だ」
「ならばでしょう? 私たちが潜入する魔法学院は、小規模ながら、精鋭が沢山いる。そいつらに置いてけぼりにされないようにしないといけない」
「逆に燃えるってもんだ」
いつのまにか、加速していった会話は、少しづつ落ち着き、2人はローズヒップティーを飲み干し、妹紅は、全体を掴むためにφを流し読みし、咲夜は、妹紅からの質問に答えながら、χを熟読している。咲夜は、筆記具を間違えて3人分持ってきたり、ローズヒップティー、レモングラスティー等の茶が合計7杯目になっても、茶菓子を持ってくるべきことには気づかなかったほど、咲夜も、妹紅も集中していたのである。
昼は晴れとなり、湿度が高く4月の割には暑い時間帯が過ぎた、夕方には存外気温が下がったが、やはり月の割には暑い。そんな12時間程度を勉強に費やした妹紅と咲夜は、疲弊していた。なので妹紅はなるべく一般的で頭の使わない会話をしようと話を切り出す。
「そういえば、私、英語、あんまり分かんないんだけど」
「何でこんなところに来てわからないの?馬鹿なの? まぁ、いいわ、大丈夫、魔法使いは、英語とは別の言語があるし、出版されている魔導士の原本は5割が暗号で書かれているから」
「え? それも覚えるの?」
流石に七面倒臭いので、妹紅は少し顔を顰める。がひらめく
「なぁ、翻訳する魔法とかってあるのか?」
「翻訳する魔法はあるけど、脳がフル回転しすぎて飛んできそうになるのよ。1番脳に負担が軽いのでも脳に無理くり暗号の文章を覚えさせてブルートフォース」
「うへぇ。けど面白そうだなそれ」
「そんなことは置いといて、魔法の基礎は理解した?」
「ちょっぴりな、そうめん15本分くらいだ」
「それは多いの?少ないの?取り逃したの?」
そんな咲夜の言葉を無視して、妹紅自身の言葉で語り始める。
魔法は、どうやら世界の解釈を自分の解釈で塗り替えるものらしい。そこに25℃(77°F)の水があり、魔法を使えば100℃(212°F)になる。別にそれを河童にしてもいい。そんなようなふわふわしながらも具体的なイメージを持つのが大事なのが魔法である。
「と、こんな感じでどうだ?!」
「う〜ん。及第点だけど今日はそれでいいかしらね」
「シャッ!」
別に本を読んだり、人と話すのは嫌いでは無いが、こうも長い時間見ていると、疲れるというもので、妹紅はそれから解放されるのでは無いかと言うことを喜んだ
これって二次創作 すまん疑っちゃって ここには捏造厨とかいるからさ 二次創作ならこのクオリティすごい!

