渡るもの藤原妹紅 第十話:ホメオスタシス その2
「で? 何でその傘」
「紫からもらった。で、来た要件は餅は餅屋とは言うからな、人探しのコツでもないか聞こうと思って」
「受け答えになってないし、私は巫女よ? さらに桂女でも便利屋でもないわ」
月が見まもる夜の中、妹紅は博麗神社─今や人妖乱れる避難所─に寄ってみた。そこには、結界がデタラメな量と質で張り巡らされていたが、そこは霊夢というもので、出入りを自動で選別しているらしい。
「まぁ、良いわ。永琳からも頼まれてはいるしね。捜索自体は」
「その進捗ってある?」
「私がここまで苦戦したのはあんまり無かった。って言ったらわかる?」
「無いか・・・・・・忙しいもんな・・・・・・」
そう言いながら、いつものように縁側でお茶を嗜む霊夢を見て、少し笑う。が笑い返されて
「逆にそっちが月の回し者で、私を撹乱するために依頼してるって線も存在するけど。私が違うと思うから違うわ」
「そうか」
そう雑な返事をして妹紅は去ろうとするが。出ようとしたところで、誰かとぶつかってしまった。夜雀はいないなのに。
「おっと、すまない。悪いなお嬢さん」
「ええ、確かに自分は悪だな。すまない」
「視認性が低くなるくらい透明の結界を張り巡らせた私の落ち度よ」
妹紅がぶつかったのは宮出口瑞霊。反獄の王だった。
「ちょっと気まずいな和解したってのに」
「大丈夫だ。理解はある」
加害者と被害者の組み合わせはいつだって気まずくなりがちだ。
「お言葉だが、あんまり理解する気に・・・・・・いや、理解をしないでおいて欲しい。それが私の為にもなる。怨霊だからな存在意義を共感されて揺れ動かされたら物理的存在が危うい」
「すまない」
そう言って立ち去ろうとする。
「輝夜のことなんだろう? 尋ねてきたのは、折り合いをつけたのなら。紅魔館に行くと良い。あそこはいつでも和気藹々としていて元気を分けてもらえる。勿論、こんな所にいるようじゃ、つけれてないようだけどな」
「・・・・・・」
「でも、また会えるように、別の人里や妖怪の想い他人同士と共に、願っているよ、その成就を」
そう台詞を吐かれて妹紅は神社から退出する
のをやめた。
「あれ? 今の流れ的に綺麗に別れるのでは?」
「そんな常識、幻想郷には無い」
「今が魔境なのは判っているが、そこまでだったか?」
帰ってきた反獄王の手錠を引っ張りながら、いつのまにか、お茶を人数分取りに行って帰ってきた霊夢の両隣に妹紅自身と共に座らせる。
「もう一度聞きたい。人探しのコツはあるか?」

