オリジナル小説〜第9話〜剣と死のシンフォニア③

4 2021/09/23 14:49

1、2階は少々危ない時があったが、シャルロットの的確な指示で持ち直し何とか進むことが出来一時間程で3階まで進めた。

3階はボス部屋があるせいかシャルロット達のパーティーから貰ったマッピングデータはかなり1,2階と比べ少なかった。

「やっと着いたな。ここで休憩だ!」

そんなシャルロットの声で前線組のプレイヤー達はポーションを飲むなりして休憩し始める。

少し緊張感が無さすぎる気がする。今回のボス戦嫌な感じがする。

「もう私から言うことは一つのみだ!全員生き残って勝とうぜ!」

ギギギ・・・

プレイヤーより何十倍も大きい門なのにも関わらず女性プレイヤー1人の力だけでも開き始める。

「全員突撃ー!」

一斉にボス部屋になだれのように入り始める。

A〜G +おまけ2人の全ての隊が自分たちの位置につく。

重く暗い雰囲気だった部屋が一気に明るくなり、ついにボスが俺たちに姿を表す。

「ザ・ファースト・アングゥィシュ」(the first anguish)

というのがボスの名前らしい、最初の苦痛ってところか。

名前のわりに計4本ある2本目で減らすことができた。

ボスの武器が大剣と巨大な盾しかないため、タンクでタゲ取りしてやれば安定して削れるのは当たり前か。

やっぱり取り巻きはいて俺と相方はまだ一回もボスに攻撃できていない。

しかし,俺がボス戦前に感じた嫌な感じは何だったんだろうか。

2本ピッタリまでボスのHPゲージを削り切った時その嫌な感じが当たった。

俺はこのゲームが開始する前にストーリーをガン無視して迷宮塔にだけ集中して攻略していたのだ。

1人で戦っていた時からは名前が変わっていたが、大剣と盾という武器で使ってくるソードスキルも変わっていなかったが残り2本のHPバーになると大剣と盾を捨て両手斧に持ち帰るというパターンになる。

しかし、今見ている武器はなんだ・・・

((斧じゃなくて抜刀剣!!))

「全員後ろに飛べ!!!!」

取り巻き処理している俺の声はボスを攻撃しているA・B・C・D隊の誰にも聞こえない。

抜刀剣専用範囲ソードスキル「円月」によりA・B・C・D隊の全員のHPバーが真っ赤に染まり始める。

中には全て削り取られたプレーヤーもいる。

「お。おいおかしいぞ!HPが0になったのにアバターが消えない!リスポーンできない!返事しろ!」

倒れたプレイヤー達から返事が返ってこない。

「そ、そうだ・・・あの日、1ヶ月前このゲームは現実に変わったんだよ!」

「ってことはこのゲームで死んだら、まだ確証はないがこのゲームから永久退場するってことなのか!?」

前線組の半数が皆、体が動かなくなってしまっている。

持っている武器を手から離していまう人もいる。

その中にリーダーシャルロットの姿もある。

「わ、私のせいだ・・・気軽に攻略しようと提案したからだ・・・」

シャルロットの自分を非難する言葉が聞こえてくる。

((このままじゃまずい、全員やられてしまう))

つい棒立ちになってしまう。

「私もやる・・・だから安心して」

相方が肩を持ちながら励ましの言葉をかけてくれる。

もう一度俺は剣を落ち直す。

「聞け!今から俺が指示する。A・B・C・D隊は後ろに下がってポーション飲め!E・F・G隊タンクやれるやつはタゲ取りしてくれ!」

誰も動かない。こうなれば俺がタンクをするしかない。

「俺がタゲ取りするから早くしろ!」

ボスが俺と相方の存在に気づき睨みつけ巨大な咆哮をあげこっちに向かってくる。

抜刀剣専用突進ソードスキル「繊月」のモーションに入り始める。

これを片手剣ソードスキルで弾くには「繊月」より火力の出るソードスキルかボスの抜刀剣の中心ピッタリ当てなくてはいけない。

今のレベルの俺にできるのは後者しかない、前者はボスのパワーパラメーター補正で並のソードスキルではできない。

「うおおぉぉお!」

片手剣突進ソードスキル「ライク・ストゥ」

今俺が使える突進ソードスキルの中で1番出だしが早い技だ。今はこれにかけるしかない。

((中心ドンピシャ!))

ガン!!剣と刀が当たる鈍い音がする。

「今だ!!」

抜刀剣と当たった振動で体が動かない。

相方に「攻撃してもらうしかない。

「セアアッ!」

三連撃ソードスキル「スリー・アクセレラシオン」

一連撃目から三連撃目にかけて突きのスピードが加速する技だ。

ボスの横腹に命中し、ボスのHPバーの2本目がミリ単位で減少していく。

相方の攻撃によるノックバックから回復し

抜刀剣ソードスキル「更待」

のモーションに入る。

俺は今「ライク・ストゥ」を使えない,それ以外のそーづスキルで弾くしかない

片手剣重単発ソードスキル「タルデ・グラウィス」

このソードスキルは重さはあるものの出始めがかなり遅くボスのモーションを見てからじゃ間に合わない。

俺はほぼ自分の直感だけで「タルデ・グラウィス」のモーションに入る、これしか「更待」を弾けない。

「おぉぉっっ!」

ガキン!!再び鈍い音がする。

ピシッ。何かにヒビが入る音がする。だが今は気にしていられない。

「もう一度頼む!」

相方の「スリー・アクセレラシオン」がボスに打ち込まれる。

「グアアッッ」

ボスから重く低い声が聞こえる。

今の所2回とも両方ボスのソードスキルを相殺できているが、これが何度も続くとは思わない。

おそらく、あと数回で失敗するだろう。

「おい!お前ら回復終わったか?」

「今、半分くらいのプレイヤーが終わった」

「前張れるやつはこい!」

A・D隊の中から少しずつプレイヤーが戦闘に帰ってくる。

これで俺と相方は回復できる。全部弾いていたからといって無傷では済まなかったのだ。

そして今飲んでいるポーションも一気に回復できるものではないので後ろに下がり回復し切るまで待つしかないのだ。

そしてA・B・C・D隊がボスにE・F隊が再ポップした取り巻きを攻撃する。

危ない中ボスのラストのHPバーが赤色に染めた瞬間、ボスのアルゴリズムが変わり狂乱状態に入る。

「一旦離れろー!」

シャルロットの指示が飛ぶ。

全員、ボス部屋の壁に近づく。

((今やらないとまた同じことになる))

「相方さん、いけるか?」

「私の相方って名前じゃない・・・私の名前はイスズ」

「さっきと同じようにボスの攻撃弾くから・・・」

言っている途中で食い気味に返事がが帰ってくる。

「私のレイピアで攻撃してくれ。でしょ?」

「あぁ、そうだ。行くぞ!」

平行で全く同じスピードで走り始める。

そんな俺と相方とさっき全員を守っていた時と同じように睨みつけ咆哮をあげ再び「更待」のモーションに入る。

俺はそのモーションを完全に先読みしていた。

さっきも俺を救ってくれた「タルデ・グラウィス」のモーションにとる。

「おおぉぉ!」

完璧な抜刀剣の中心を捉えた俺の剣は今までより一段とボスを飛ばした。

そこにイスズのソードスキルを打ち込んだが、あと一ミリだけ残ってしまう。

ここで俺がやることは一つだ。

突進ソードスキル「ライク・ストゥ」

「と・ど・けぇぇえええ!!!!!」

ザシュッ。

気持ちのいい音がし、ボスが虹色の光となり消滅する。

(続く)

〈後書き〉

今回も読んでいただきありがとうございました!

ボス戦ともなるといつもの4倍ぐらい書き大変でした( ・∇・)

次回も読んでください!

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まだ読んでない人はこれを読んだ方がわかりやすくなります٩( 'ω' )و

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イスズちゃんかっこいいーー!!!!!


>>1
ソードスキル考えるの脳みそトケリュー


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