空想小説「青鬼」 第6話 雪山

2 2023/11/24 00:06

その頃ひろしとたけしと卓郎は小屋に到着していた。

卓郎「あったぜ、ロープ!」

ひろし「梯子(はしご)もありますね。」

たけし「どうする?二つとも持って行くか?」

ひろし「念の為持って行っておきましょう。ロープが切れると駄目ですからね。」

卓郎「よし!じゃあ美香と氷河の所に戻るぞ!」

卓郎が梯子、たけしがロープを持って、美香と氷河の所へ戻っていった。

卓郎「美香ー!氷河ー!」

卓郎が声をかけると、2人は上を向いた。

美香「あっ、卓郎っ!」

氷河「ひろしさん!たけしさん!」

卓郎「ロープ、持ってきたぜー!」

美香「じゃあ、早くロープをおろして頂戴!」

ひろし「降ろしますから急かさないで下さい、美香。」

ひろしは近くの岩の突起にロープを縛り付けた。

ひろし「では、どうぞ。」

氷河「先に上がっていいですよ、美香さん。」

美香「ありがとう、氷ちゃん。じゃあ先に行かせてもらうわね。」

そう言い、美香はロープを上がってき、美香は1分位で上へ登り切っていた。

美香「よし、登れたわ!」

氷河「じゃあ自分も登りますね!」

氷河がロープを登ろうとしたその時、ブチッ、という音がした。

氷河「はぁっ…??」

卓郎「切れたあああぁぁぁ!!!」

ひろし「梯子、持ってきて良かったですね…」

ひろしは呆れながら言った。

たけし「じゃあ、早いとこ上げようぜ…!」

梯子だったからか、すぐ登りきる事が出来た。

氷河「ふう、登れました!」

卓郎「よし、じゃあ進むか!」

美香「オッケー!」

ひろし「警戒を怠らないようにしましょう。」

たけし「ガタガタガタガタ」

氷河「ちょ、置いてかれてますって!たけしさん早く行きますよ!」

氷河は慌ててとっさにたけしを担いで走っていった。

氷河「結構進みましたね…」

氷河がそんな事をぼやくと、大きな扉の前に出た。

卓郎「…ん?何だこの大扉?」

美香「突撃しましょ!」

氷河「はい!?」

美香の唐突な発言に思わず氷河はガチ目の「はい!?」が出てしまった。

たけし「お、おい美香!ヤバい奴がいたらどうするんだよっ!!?」

美香「そんなのたけしを盾にするに決まってるでしょ?」

たけし「はぁっ!!!?マジで言ってんの美香!!!?」

美香のとんでもない発言にたけしは発狂に近しい声を出した。

美香「うふふっ、冗談よ♪」

氷河『美香さん…怖ぇよ…もしもマジだったら絶句してるよ…』

ひろし「それで、結局どうするのですか?」

美香「決まってるじゃない!突撃よ!」

氷河「ええぇ…」

卓郎「突撃するって言ってもよ、結構この大扉重そうだぜ?」

美香「ぶち壊せばいいだけのお話じゃないの?」

氷河『この人達って、いっつもこんなノリなのかな…』

ひろし「美香はいつも通りですね…」

氷河『あ、いつも通りなんだ…そうなのか…』

   「美香さん、やっぱり壊すのはあれですから5人で押して開けませんか?」

氷河は呆れながらも、別の方法を提案した。

美香「うーん、わかったわ、でも、これで開かなかったらぶち壊すわね!」

氷河「あーもうそれでいいですよ…」

  『あんまり壊して欲しくないんだけどなぁ…』

卓郎「じゃ、せーので行くぞ!」

全員「せーの!」

扉はギイイイイイィィィィィ……………という軋んだ音を立てて開いた。

美香「開いたぁー!…って…」

卓郎「つか寒っ!上着着よ…」

扉の先は、猛吹雪の極寒の雪山だった。卓郎は速攻で腰に巻いた上着を着た。

たけし「や、山の上だからな…ガタガタガタガタ」

たけしは恐怖と寒さが相まって一層震えながら、たけしも続いて上着を着た。

ひろし「マフラー…持ってきて損はありませんでしたね…」

卓郎「いや、そもそも夏場でマフラーはつけねぇだろ…」

ひろしも上着を着た。いつの間にか、美香も上着を着ていた。

氷河「さっさと行きますよ、皆さん。」

氷河は腰に巻いていた薄い上着を羽織り、腕を組んで言った。

たけし「な、何で氷河はそんなに平然と出来るんだよ…!」

氷河「雪山っていうか、寒いとこは慣れているので…」

たけしが上着のボタンを留めながら聞くと、氷河は上着のポケットに手を入れて言った。

美香「そういう問題じゃないでしょ…手袋ももらっておけばよかったかしら…」

美香はしきりに手を擦りながら呟いた。氷河は目を細め、少し震えながら口を開いた。

氷河「まぁでも、全く寒くないってわけでもないですよ。ともかく…寒いのが嫌なら早く終わらせますよ。」

たけし「さ、賛成…」

ひろし「で、では進みましょう…」

そして、5人は吹雪吹き荒れる中、進んでいった。

______________________________________

それからなんだかんだ2時間後、時刻は18:30になろうとしていた。

美香「どうしよう…もうすぐ日が暮れるわ…」

ひろし「流石に夜の暗闇の中進むのは危険ですね。どこかで一夜潰しましょう。」

氷河「そうですね、ひろしさんの言う通り、夜は危険です。自分は夜目が効くからいいけど…」

氷河はボソッと呟いた。

たけし「氷河、今小声で何か言わなかったか…?」

氷河「あぁいや別に、大層なものではありませんよ。」

氷河は苦笑しながら言うと、美香が声を上げた。

美香「あっ、そこの洞穴なんてどうかしら?」

美香が指さした先には、小さな洞穴の入口があった。

卓郎「お、イイね美香!行くぞ皆!」

卓郎は洞穴の入口に向かって走り出した。

美香「あー、待ってよ卓郎ー!」

たけし「あぁぁ、ちょっと待ってくれよ〜!」

ひろし「足元注意ですよ、皆さん…」

3人も卓郎を追って走っていった。氷河はその光景を見ながら思った。

氷河『皆…ここ雪積もってるってのに、よく走れるな…』

そう思いながら、みんなの後を追った。

______________________________________

美香「うっ…真っ暗ね…」

卓郎「おまけに外は猛吹雪、参ったな…」

外はすっかり日が暮れ、洞穴の中は真っ暗になっていた。しかも吹雪は昼より激しくなっていた。

氷河「洞穴自体の奥行きはあまりないから奥から青鬼が来る事は多分ないかな?」

ひろし「そうですね。それに、吹雪を凌げるだけでも十分でしょう。」

たけし「な、なぁ、誰か明かり持ってきてないか…?」

たけしが震えながら言うと、卓郎は呆れながら言った。

卓郎「おいおい、たけし。それがあったら苦労はしねぇよ。そんな都合よくある訳…」

氷河「あるよ。」

卓郎「ええええぇぇぇ!!?」

氷河「採掘場なら暗いかなって思って、小型のランタンを水刃さんお手製のバックに入れてきてたんですよ。」

卓郎「ま、マジか…」

たけし「は、早く明かりつけようぜ…」

卓郎「そうだな。氷、頼む。」

氷河「了解です。」

氷河がランタンの電源を入れると、明るく光った。

卓郎「暇だな…なんか話そうぜ。」

卓郎が暇そうに呟いた。

氷河「話すネタなんて無いですよ、自分。」

美香「意味怖ならあるわよ?」

美香が笑顔で言うと、たけしが猛抗議した。

たけし「やめてくれええぇっ!!」

たけしは怖いのが苦手なため、思いっきり却下した。

氷河「雰囲気はバッチリですけどね…」

氷河は苦笑しながら言った。

ひろし「じゃあどうするのですか…」

卓郎「つーか、俺眠くなってきたぜ…」

氷河『いや、死ぬぞ…』

   「え、ここで寝るんですか?」

美香「そうね、そろそろ寝ようかしらね…」

氷河「え、美香さんもですか!?」

たけし「でもさ、寝てる時に襲われたら終わりじゃね…?」

氷河「いや、そういう問題じゃないでしょう…」

ひろし「では、不寝番を決めましょうか?」

美香「不寝番?」

美香がひろしに聞いた。

ひろし「簡単に言うと、見張りの事ですね。」

卓郎「なるほどな。じゃあ、誰がやる?」

氷河「自分がやります。」

速攻で氷河が立候補した。

たけし「まさかの即立候補!!?」

ひろし「大丈夫なのですか、氷河…」

ひろしが氷河の心配をすると、氷河は笑って言った。

氷河「あはは…寝不足なんて日常茶飯事だから、大丈夫ですよ。」

美香「それ、大丈夫じゃ無いわよ氷ちゃん…」

美香が呆れて言った。

氷河「まぁまぁ、いいってことですよ。皆さんはゆっくり休んでください。」

卓郎「悪ぃな、氷。」

たけし「サンキューな…!」

美香「氷ちゃん、眠くなったら私達に変わってもいいからね?」

氷河「ありがとうございます、美香さん。」

ひろし「やれやれ、私達も寝ましょうか?」

美香「そうね。氷ちゃん、よろしくお願いね。」

氷河「はい、任せてください!」

氷河は明るい声で言った。

卓郎「んじゃ、おやすみ!」

ひろし「無理はしないでくださいね。」

氷河「りょーかいです!任せてくださいよ!」

そう言い、氷河は見張りに向かった。

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その他2023/11/24 00:06:53 [通報] [非表示] フォローする
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氷河「これ、大丈夫かな…?」

霞「後、イラストミスりましたorz」


2: 佐野エマ @zxhgr 2023/11/24 07:23:00 通報 非表示

>>1
ゆっきー


>>2
はい、なんでしょう?


>>1
レイン「今度はここか。それにしても雪景色だな。氷河が見張りか。見えないとこで協力しよ」


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